9月30日にUNISON SQUARE GARDENの8thアルバム「Patrick Vegee」が発売されました。
"なんかグチャっとしてんだよな"をキャッチコピーに、UNISON SQUARE GARDENらしさを凝縮したアルバムに仕上がっています。
アルバムについてのきちんとした文章は音楽文に投稿したので、良ければそちらをご覧ください。
全体像はこちらで大体書いてしまったので、あえて今回の記事では割愛します。重複するのは何となくおいしくないし、食べきれないと思うので。
ブログではディスクレビュー的なことをするつもりです。曲の詳しい解説や聴いたときの感想などを書いていきます。
とはいえ、ただ紹介するだけでは面白みもないし、曲のなかで自分の琴線に引っ掛かった歌詞をピックアップして詳しく掘り下げていこうと思います。
今回は歌詞がアルバムを構成する大きな要因となっているので、そこに注目すると面白くなっていきそうかなと。
まあブログは肩肘張らずに気楽に書いていく…を信条にやっていますので、宣言通りに好き勝手に書いていきます。
できれば残さずに食べてね。
1.Hatch I need
マジ歪。こんな始まり方ある?笑
って思ったそこのあなた、これが通常営業ですよ。
UNISON SQUARE GARDENのアルバムは1曲目でその方向性がわかるもんなんですが、大概が聴き手を揺さぶり尽くす構成になっております。
ベースから始まる曲というのは楽曲的にも珍しいけど、チューナーで音を弄ってるのはさらに新鮮な印象が。
ただでさえ重厚なベース音に不穏さが加えられ、合間に流れるギターの演奏が警告音のように聴こえて、否が応でも不安感を掻き立てられます。
そこから続く"I need Hatch"…が攻撃的な雰囲気も醸し出すもんだから、ここらへんでめちゃくちゃに尖った曲だと理解する人も多いはずです。
何より初っ端からこの収集がつかない感じ…色々と予測不可能なのが今回のアルバムの方向性をさりげなく示していますね。
タイトルの「Hatch I need」はユニゾンお約束のアルバムの数字が名前に盛り込まれています。
曲は最高におかしな感じだけど、タイトルは今回大人しめだな…なんて最初は思いましたが、これがまったくに油断していたのは後のちょっとした伏線。
幕開けの歌詞にある"Aと為す" "Bと為す"でロックバンドで多用される「8ビート」を表しているっていう考えを最初に見たときは、思わず目から鱗が落ちてしまいました。
「Patrick Vegee」というタイトル通り、野菜や食事を連想するフレーズもたくさん盛り込まれているのが今アルバム。
"際限無い楽しい遊び 雑念ない楽しい遊び 両立なんかは望んでないが ありあまるセンスで噛んで砕きます"
大好きな音楽のためなら、望まないことでもキッチリと落として込んで、自分の思うように動かしていける力はあるんですよっていう彼らの自信が垣間見えるフレーズが最高です。
ユニゾンは変に意気がらずに過不足なく自信を覗かせてくれるので、ひとつひとつにとても説得力があるのが好きなポイントの一つですね。
あと目立たないけど、"白ヤギさんが食べちゃって no game"っていうのも可愛いよね。
サビ前の"無作為に塞を振りやがった"や"骨を折るのも骨が折れる"の心ないことしかしない人たちへの突き放した言葉に爽快感を感じたのは僕だけでしょうか。
お待ちかねのサビも、"判断待って待って まだあらすじは終わってない 切り取り方には難があるだろう"っていう歌詞が、禄に物事を見ずに判断してる人たちへの通例な皮肉になっているのが個人的にポイント高いですね。
現代社会にはあまりにも自分の都合の良いように解釈する人たちが多すぎると思うんですが、好き嫌いは置いておいて、すごく損してると思うんですよね。
そういう人たちは相手にもしないし、自分たちの好きなようにやり続けるよというメッセージが透けて見えるのは、ロックバンドが変わらないことを暗示していてとても良いです。
《ナツノヒ的ピックアップポイント》
タイトルがだせぇ…笑
あえて他の人たちとは異なる視点で見ていくという意味を込めて、《ナツノヒ的ピックアップポイント》と名付けました。
安直なのは書きながら7秒で考えたからです。大して意味はないから許してください。
そんなわけでこの曲のピックアップポイントはこの歌詞です。
"定石じゃないのは知ってますが 常識はあると思ってます"
これはけっこうUNISON SQUARE GARDENを象徴するフレーズだと思っていまして。
このロックバンドは捻くれてはいますし、周りに迎合して何かをやるということは絶対にないと思います。
要は流されないバンドだと言うことです。
音楽シーンに関わらず、物事の大抵のことはマジョリティ側に染まりやすくなっている気がします。少数派は肩身が狭いからね、これはしょうがないことです。
何故かといえば、そっちの方が色々と楽だから。やりたいことを貫くということは思っている以上にしんどいということを、僕も社会に出て知りました。
多数派に寄れば、大抵のことは賛同を得られるし、そこからはみ出すことさえしなければ望むものも手に入るでしょう。
UNISON SQUARE GARDENに関していえば、ここに当てはまることはまず有り得ない。
まだ見ぬ誰かに音楽を届けたり、ファン層を広げようなんて思いは皆無だと思うので。
これをアーティストの"定石"とするなら、確かにそことは異なる生き方をしていることは容易に想像がつきます。
一方ロックバンドといえば、まあ幸せを望む音楽は増えたものの、深く掘り下げていく程に"定石"からはみ出しているバンドが増えるイメージが。
要はぶっ飛んでるバンドが多いんですが、いわゆる理不尽と戦っている印象もあります。
マジョリティって声が大きくなるから何しても良いって勘違いしてる人も沢山いるので、そんな理不尽を否定するために反骨心丸出しで対抗してると解釈しております。
まさにロックバンドの原点なので、それ自体はカッコ良いと思うんですよね。
ただ、勘違いされがちなのが理不尽なことをされてからって、同じような手段で対抗しようとする人たちがいるってこと。
某ドラマじゃないですが、「やられたらやり返す…」的な。
それって世間の常識を無視したものも一定数あるので、一概にどっちが良いのかって比べにくいんですよね。戦っているフィールドが違いすぎるので。
野球VSサッカーで勝負しても、どっちが強いかって証明しようがないじゃないですか?
結局お互いの主張を言いたい放題言うだけで、よくわからなくなってしまうことも多いような。個人的には都合の悪い部分で逃げてる印象もあります。
その観点で見れば、UNISON SQUARE GARDENは言いたいことは言うけど、無意味にはみ出すことはしないロックバンドでもあります。
自分たちの音楽を鳴らす以外の興味が薄いので、不必要なことは削ぎ落とすし、逆に必要なことがあれば迷わず受け入れる…どこまでもブレることのないバンドです。
その必要なことのひとつが音楽を聴いてもらう環境を整えること。
音を鳴らすために絶対的に必要なのが、聴き手が存在です。
音楽は届ける相手がいないと一瞬で意味がなくなってしまうので、鳴らし続けるためになくてはならないピースなはず。
もちろんそこに対して媚びることはしないけど、自分たちの最高の音楽を届けるために、どうしたら良いのかを全力で考えられるバンドではあります。
音楽やロックバンドにとって当たり前な部分は蔑ろにしない。そういう意味では"常識"があると思います。
現在のUNISON SQUARE GARDENは、バンドを良いものに昇華していくために、徹底して取捨選択をしていった結果の姿です。
その本質は無理せずに自分たちのやりたいように活動していくということ。
そして、それが何よりの最良であり、最も輝く姿であると信じています。
よく知りもせずに心ないことを言ってくる人もいるでしょう。
そんなアンチも黙らせ、ファンの心にもスッと入り込んでくるフレーズとして捉えられるのが、"定石じゃないのは知ってますが 常識はあると思ってます"だと考えています。
少なくとも僕は世の中と同じステージに立って、それでも揺るぎなく自分たちの音楽を鳴らしてくれる彼らに勇気をもらえました。
ここらへんは「Patrick Vegee」というアルバムの根っこにも関わる部分でもあるので、方向性を示すという意味で1曲目の役割を担ってくれました。
長くなりましたが、以上がピックアップポイントです。
聴くたびにどんどん深みにハマっていく1曲目。一筋縄ではいかない感じがビンビンに漂っていますが、それは2曲目以降も同様でした。
2.マーメイドスキャンダラス
え、何これ、好き…(恍惚の表情)
例の視聴動画を聴いた瞬間にこの曲がアルバムの推し曲に決まりました。
ユニゾンのアルバムには必ず1曲、尖りに尖って洗練されたメロディの曲が収録されるものなんですが、今回は2曲目という比較的早い位置での登場となりました。
これは5thアルバム「Catcher In The Spy」にも共通することで、2曲目の「シューゲイザースピーカー」にも同様の特徴が表れていました。
例えるならば切れ味の鋭い刀でしょうか。脇目も振らずに僕らの心に突き刺さるメロディは、他の追随を許さない攻撃力を秘めているように感じます。
CITSはロックバンドのカッコ良さに全振りしていたからこその洗練した何かを表現していましたが、この傾向から考えると「Patrick Vegee」にも同様の性質があることが察せられますね。
タイトルが「マーメイドスキャンダラス」っていうのもとても良い。
こういうつよつよでかっちょいい曲ってタイトルも尖り気味なことが多いんだけど、"マーメイド"と"スキャンダラス"って言葉が美しさとセクシーさを演出していて、今までにない新しい魅力に溢れているような。
名前のキレイさと曲のカッコ良さのミスマッチ感が、結果的に素晴らしいギャップになっていると思います。
何よりこのカタカナだけで表現されているタイトルが最高で。
「マスターボリューム」、「パンデミックサドンデス」、「ラディアルナイトチェイサー」…マイナー調のカタカナ統一曲はもれなく神曲なので(俺調べ)、タイトルがわかった瞬間に勝利は約束されていましたよ。
歌詞も"マーメイド"のタイトル通り、人魚姫を彷彿とさせる言葉が並べられていました。
"真実は泡になる"
"幸せと歌った彼女とリンクした"
"足が途絶える恐怖のこと"
僕は幼少期はディズニーに触れてきた人間なので、人魚といえば「リトルマーメイド」の方が馴染み深くて、原作の「人魚姫」は知らない部分が多いのですが。
決してハッピーエンドではないのに、それでも前を向いていける強さを感じる曲になっているように感じます。
"運命なら過去に置いてきたから 今になって大事そうに語らないで これ以上は耳鳴りがしそうなんだよ"
個人的に"運命"なんて言葉は結果論でしかなくて、様々な事柄を選択していった末の到達点を、勝手に"運命"って呼んでるだけだと思ってるんですよね。
そんなある意味で他人任せな言葉はすでに置いてきてるし、現在も地に足をつけて活動している彼らだからこそ、このフレーズは出てきたのだと思います。
活動していく上で不要なものは容赦なく削ぎ落としていくし、16年という月日でどんどん洗練されていくロックバンドが放つからこそ、言葉に一層重みが加わります。
マーメイドの"嘘"については、より詳しく解説してくれているフォロワーさんのブログがあるのでそちらを見て欲しいんですが、個人的にはあってはならない真実ぐらいの認識ですね。
うっかりすると本当っぽく見えてしまうけど、よく目を凝らすとそうじゃない。もっと素敵な未来はあるんだよ…みたいな。
周りには無関心だけど、誰かを不幸にする道を選びたくない彼らの誠実さが見え隠れする歌詞ではないでしょうか。
そして僕は初聴時にまったく気づかなかったんですが、曲の繋ぎにちょっとしたマジックが隠れているのが最大のポイントかもしれません。
1曲目「Hatch I need」はタイトルにも数字的要素が含まれていますが、曲のラストも"I need Hatch!"と8を連想させるフレーズで終わっています。
一方でこの2曲目の「マーメイドスキャンダラス」の始まりは、"マーメイドの嘘が 本当になってしまう前に 夜を掛けなくちゃ"という歌からのスタート。
ここで気付く人はすげぇなぁ…と今でも思うのですが、Hatch!マーメイド…はっちまーめいど…8枚目ど…なんて風にいつも通りの仕掛けが施されています。
「MODE MOOD MODE」の「Own Civilization(nano-mile met」」の"ななまいめ!"がだいぶと露骨だったので、次アルバムは変化球気味に来るとは思っていましたが、ここまでわかりにくい感じで来るとは。
田淵がインタビューで言っていた、"ユニゾンを知っている人ならニヤッとする繋ぎ"というはきっとここでしょうね。
それを差し引いても、この2曲の繋ぎ方は神がかっているので、ぜひライブでも2曲連続で披露して欲しいところです。
ちなみに田淵がインタビューで言っていた、8thアルバムツアーの1曲目は「マスターボリューム」にするつもりだったという言葉がなかなかに衝撃的だったのですが。
そうなると、1.マスターボリューム→2.Hatch I need→3.マーメイドスキャンダラスの流れが見れていたということですよね…?
何それ、めちゃくちゃ見たすぎるよ!
つくづくコロナウィルスが憎らしくなってきますね。いや、本当に。
3月にあるSaucy Dogとの対バンは、僕の好きなライブハウスのひとつである「なんば"Hatch"」で開催されるので、「Hatch I need」→「マーメイドスキャンダラス」の流れが披露されないかな〜?なんて期待してるのはここだけの話です。
《ナツノヒ的ピックアップポイント》
タイトル、やっぱダサくない…?大丈夫、これで…?
だいぶと不安もでかいですが、とりあえずは目を背けて続けようと思います。
この曲のピックアップポイントはこちら。
"絶対とかないよ そんなきれいごと聞けるなら ここまで生きれてないんだよな 違和感とかは微塵も感じないんだよ"
UNISON SQUARE GARDENの曲は、2番にハッとさせられるような言葉が入っていることが多いんですが、この歌詞も2番のサビに含まれているフレーズです。
この"絶対"っていう言葉がどれくらいの意味を含んだものなのかはわかりませんが、彼らなりの覚悟が垣間見えるように感じていて。
このロックバンドは僕的には、真っ当で違和感もないし、誰もが羨む王道な道を突き進んでいると思ってるんですよ。
ただ、世間的にはどうやらそうではないようで。
世の中ではパッと耳にしたらわかりやすいフレーズの曲が好まれるし、ライブもどれだけオーディエンスと一体になれるかどうかで良し悪しが決められる場合が多いように感じます。
もちろんそれもそれで有りだし、僕だって楽しくなる場面はたくさんある。
けれどもそれだけじゃないですよね。
まったく盛り上がりがなくても曲やバンドの力だけで魅せられるライブもあるし、逆に統合性が取れなくても勢いだけで楽しいライブもある。
楽しいはその場に人や雰囲気で全然変わるし、正解はない。要はメリハリと多様性ですよね。
それを言葉にしなくても実践できているのがユニゾンだし、今は変化球でも本来は正当な立ち位置にいてもおかしくないと思います。…維持するのは難しいけど。
そんな存在証明と覚悟が見え隠れしたフレーズ、迷いのなさがハッキリと表れていて、聴くだけで心地が良くなります。
何より好きなのが、その後に続く"感じるなら きっと後戻りも厭わないからさ"というフレーズ。
間違っているなら考え直す。ある意味で当たり前のことなんですが、それを実践できる人は世の中には多くないし、逆に誤魔化してしまう人の方が大多数かもしれない。
絶対はないからこそ、それは自分たちにも当てはまる。当然の真理ですね。
おかしいならばおかしいときちんと認める。それぐらいの覚悟はとっくに出来てるんだよ…ある意味で柔軟な考え方が結果として、より彼らの信念を強固にしているように感じました。
そうやって、物事の辻褄をしっかり合わせてくれるからこそ、薄っぺらくない強烈な説得力を伴って聴くことができます。それが自分的には死ぬほど心地が良いです。
そんな感じで2曲目の時点ですでに高揚感はMAXです。まだシングル曲は出てきてないんだけどな…すでに7000字超えてるなぁ。
正直自分でもこれからどんな文になるかはわかりませんが、このままできる限り突っ走っていこうと思います。
3.スロウカーヴは打てない(that made me crazy )
3曲目までがシングルじゃないのは「MODE MOOD MODE」で意表をつくかたちで実践したので、今回は意図的に避けると思っていました。
実際に自分の曲順予想でも、3曲目はシングルになると考えていました。
結果としては裏の裏を書かれた感じで、今回のアルバムもシングルが登場するのは4曲目以降となりました。
まあ今回のアルバムに隠された曲順マジックを考えれば、当然の結果ではあるのですが。
とはいえ、前回の「オーケストラを観にいこう」という作り込んだ強力な曲は登場していないので、意図も印象もまったく別物になっていると思います。
そんな3曲目、今までの尖った雰囲気からガラッと変わり、ユニゾンらしいポップさも散りばめられた曲になっています。
この曲の最大の肝は、(Inspired by throwcurve)と冠している通り、00年代に活動していたロックバンド「throwcurve」にインスパイアされた楽曲だということです。
僕自身throwcurveはこの曲を聴くまで知らなかったんですが、田淵の話を整理する限り現在のユニゾンの音楽性に関係する部分も大いにありそうな感じです。
throwcurveの楽曲のなかでも、今回ベースになったのが「連れてって」と「表現は自由(that made me mad)」の2曲です。
以下にリンクを貼りますが、一聴しただけでパク…もとい影響されたことがわかるぐらいにそのまま楽曲の特徴が取り入れられている感じです。
https://youtu.be/3yqXt-K3iJ
例えるならば、「RUNNERS HIGH REPRISE」みたいなものでしょうか。あれぐらいわかりやすいですよね。笑
これを聴くと、「連れてって」は主に前奏部分、「表現は自由(that made me mad)」はサビ部分に取り入れられていることがわかります。
そこにユニゾンらしいポップさ、"スロウカーヴ"というワードから野球を連想したからでしょうか…「crazy birthday」のイメージもほんのり感じます。
結局このスロウカーヴを投げてるのは誰なんでしょうね?ユニゾン?それとも他バンド?まさかのオーディエンス?
曲のテーマとしては、原曲にも関係するフェス文化における多数派による迎合への疑いなんですが、そういう意味だと直球勝負をしないUNISON SQUARE GARDENが1番妥当でしょうか。
確かにあのフェスの圧迫感は、どうしても強制力がありすぎて好きくないのはわかってしまうなぁ。
自由に楽しいはずの音楽を目一杯楽しめない感じ…幸せより徒労感が強くなるのも少々残念だったりするし。
ユニゾンも普段のライブが嘘みたいに治安悪くなるし、マナー的な意味でも年一ぐらいで良いなぁと思ってしまいます。
とはいえ、僕がUNISON SQUARE GARDENに興味を持てたきっかけもフェスなので(幾分か平和なやつだけど)、そういう文化に感謝しなくてはいけないのも事実なので。
みんな一緒におてて繋いで同じことをする…っていうのは違うよね?ぐらいのスタンスで行くのが最適解なんでしょうね。
そういう意味での、"You may doubt "Rock festival""っていうのは絶妙に刺さる歌詞ではありますね。
田淵は最初この曲をリードトラックにしようと思ったらしいんですけど、そうなればユニゾン史上初めて前半にリードが来る展開になっていたんですね。それはそれで面白そう。
今回のアルバムはどの曲がリードになっても違和感ないし、仮にこれでMV撮っても全然良かったのかもしれない。
もしかしたらあのアー写の服で撮ってたかもね。斎藤さんの白ジャケ。あれでMV見たかったな〜!(まだ言ってる)
《ナツノヒ的ピックアップポイント》
…やっぱダサい?笑
今回のピックアップポイントはこちらぁ!(ヤケクソ)
"凸凹道を埋めています つまりlatencyを埋めています"
今回のアルバムは前曲に、シングルを彷彿とさせる歌詞が入っているのが特徴なんですが。個人的に1番洒落が効いてて、けっこう好きなんですね。
歌詞の通り、そのまま4曲目「Catch up,latency」に繋がっていくんですが、latencyは日本語で「隠れている」「潜伏」などを意味しています。
潜伏=待ち時間ですね。ネット用語のひとつみたいです。(ザックリ知識ですが)
その意味を当てはめていくと、凸凹道は曲間のこと、そんな待ち時間=latencyを埋めていくということになります。
答えとしては至極単純なものなんですが、さすがにこれを一聴でわかる人は多くないはず。
ここでこのアルバムが繋ぎを意識したものであることをサラッと紹介する意味も込められているけれど、これまた聴いていかないとわからないことではあります。
そんな誰しもはわからないけど、きちんと聴いた人だけがわかり得る仕掛け。
UNISON SQUARE GARDENのお家芸ではありますが、こんな風に自然に違和感なく入り込んでいることに勝手に感動を覚えてしまいました。
残りの繋ぎも確かにロマンチックですが、至極わかりやすいかたちにはなってるので、今回はそれとはまた違った感動があります。
そのため、ある意味で唯一無二の仕掛けだと思うので、ピックアップポイントとしてあげてみました。
リードとは違った意味でアルバムを象徴する曲と考えれば、また捉え方が変わるかもしれませんね。
4.Catch up,latency
ここでようやくシングルの登場です。だいぶとアルバム曲の紹介に時間を割いてしまっているので、シングル曲は少々短めでいければと思っています。
まず一つ目は15thシングル「Catch up,latency」、アニメ「風が強く吹いている」の主題歌でもありました。
今回のシングルは三者三様の特性を持っており、この曲はそのなかでもポップに寄り添った曲調となっています。
これは偶然なのかもしれませんが、ユニゾンの節目のシングルはポップに寄りがちで。
1stシングル「センチメンタルピリオド」、5thシングル「オリオンをなぞる」、10thシングル「シュガーソングとビターステップ」…どれもポップさに振り切った爽やかな曲調が目立っているように感じます。
この「Catch up,latency」ももちろん例外ではなく、曲調はポップでこれぞUNISON SQUARE GARDEN!といった作品に仕上がっています。
とはいえ、ポップさもより洗練されたように聴こえますし、素人の自分でもわかるぐらいに技術の進歩も感じます。
何より曲の質として、聞かせる力が向上してるのはやはり15年間の積み重ねでしょうか。
"皮肉は却下だぜ、クワイエット"
"順序よく栄光は巡ってくるかも"
なんて優しくない歌詞もユニゾンらしくて好きですね。
ポップな曲って自分のなかでは影響力はないので、どうしても昔の曲が強いんだけど。
時折こうやって聴きたくなるのは、シングルだからこその作り込みの細やかさゆえな気はしています。
この時期にユニゾンを好きになった人も多そうなので、僕にとってのオリオン、誰かにとってのシュガーソングがこの曲なんだろうね。
《ナツノヒ的ピックアップポイント》
ダサさも一周まわればかっこよく見えるってUNISON SQUARE GARDENに教えてもらったよね!
はい、というわけでこの曲のピックアップポイントはこちらです(悟り顔)。
"君も傷ついてきたんだね それならその足で反撃してやろうじゃない"
無意味な常識に囚われないのが、UNISON SQUARE GARDENの長所だと思っているんですが。
大概のJ-POPの応援歌って、傷ついたときに寄り添うか悪口言ってくれるじゃないですか?笑
それもそれで励まされると思うんですが、なんとなく無責任な感じもしてしまうんですよね。
いや、そんなこと言ってるけど、それだけで本当にええの?みたいな。安心感はあっても、漠然とした不安感は消えない。
ある意味で他人の領域には踏み入れないし、安全なところから言われるフレーズって捻くれ者の僕には全然響かないんだよなっていう話なんですが、
それに対して、この歌詞で1番グッと来たのは、"君も"というフレーズ。
きっと彼らもたくさん傷ついてきたんだと思う。傷ついたときの1番の対処法は逃げることであるし、それは絶対的に間違っていないはず。
けれども、3人が選んだのは根っこの部分は曲げずに反撃していくこと。
どんなにしんどくても大切なことは見失わずに生きてきたからこそ、今があるんだと思います。
そんな積み重ねがあったから、"君も"という言葉が出てくるし、"反撃"という歌詞に一切のギラギラ感はない。かなり地に足ついてる感じがする。
昨今の世間事情に忖度することなく、自分たちの信じる言葉を紡ぐからこそ、歌に説得力が生まれるんですよね。
それは斎藤さんの声の力もあるし、田淵の言葉の力もあるし、貴雄のリズムの力もあるし…3人の力が重なった結果だからこそ生まれたものでもあります。
そんなフレーズにちょっとだけ生きる力をもらえるからこそ、明日も何とか戦っていけるのかもしれないですね。
5.摂食ビジランテ
4曲目までが繋がりを意識したものになっており、また今後の曲もその性質は同様なので、このアルバム唯一といっていい独立した楽曲となっています。
田淵曰くアルバムの最後のピースを埋める曲になったとのこと。
「MODE MOOD MODE」でいえば、「フィクションフリーククライシス」のような立ち位置となりますが、あの曲もアルバムに足りない成分を補うために制作されました。
この「摂食ビジランテ」も同様の理由で収録されたようです。
このアルバムで足りないピースは何かと言われれば、良い意味で気の抜けた曲…と言ってしまえば良いでしょうか。
前述した通り、今回のアルバムは曲間の繋ぎにかなり力を入れているので、聴き手もある意味で気の抜けない時間が長くなっています。
もちろん芸術的な流れに感動する割合の方が大きいですが、そればかりが続いてしまうと、人によっては疲れや飽きが出てしまうかもしれません。
そんな合間に挟まれるのが、この「摂食ビジランテ」、"食べられないなら残しなよ"というフレーズを携えたこのアルバムをある意味で象徴する曲となっています。
"摂食"という言葉が含まれている通り、食事を連想されるフレーズが多く散りばめられていますが、あまりそれ以上の意味はないようで。
良くも悪くも深く考えずに聴く曲となっています。
食べ物で例えるならば、付け合わせみたいな存在かもしれませんが、それがおいしかったりするとけっこうテンション上がりますよね。
立ち位置としては目立たないですが、だからこそただ聴くことに没頭できる…アルバムとしてのバランスを保つための大事な役割を担っている曲だと思います。
とはいえ、何も考えてないといった割に歌詞はなかなか過激なもので。
"めんどくせぇよ 忌々しい 白状です ちっとも食べられない 向上心なし 早くサインさせてよ"
"万人が煽る ユートピアに期待なんかしてないから 今日は残します"
聴くだけで思わずドキッとするようなフレーズが多く含まれています。
何も考えてない…ということは逆に言えば、無意識下で生まれた言葉という意味にも捉えられますよね。
個人的には、彼らの活動スタンスを変に取り繕わずに表現している歌詞だと思いました。
何に向けて言っているのか明言されていませんが、だからこそ余計に剥き出しでフレーズが突き刺さるようなイメージがありますね。
世間様っていうのは、どうしても有象無象が溢れやすいし、やりたくもないことを強要してくるめんどくさ〜い輩もたくさんいます。
そんな人たちを明言しない=かけらも相手しないっていう強い意志が垣間見えるようで、個人的にはけっこう好きな歌詞です。
UNISON SQUARE GARDENの歌詞は、現実世界では言いにくいことをたくさん言ってくれます。
「パンデミックサドンデス」の"全部全部意味わかんない 君のその哲学がわかんない"
「WINDOW開ける」の"嫌いなんだよ 媚びんの"
「プロトラクト・カウントダウン」の"君を泣かせる 世界の方がおかしいじゃん"
おかしなことだとわかっていても、周囲から浮いてしまうことを恐れて、なかなか思っていることを口に出すことは難しいです。
ユニゾンはそれを作品として違和感なく入れ込むことで、僕らの普段抑え込んでる気持ちを昇華してくれるフレーズを入れてくれます。
「摂食ビジランテ」もそれ同様に日々の鬱屈とした感情を発散してくれるようなフレーズが絶妙に含まれています。
個人的には嫌なことあったら聴くと色々と救われますね。笑
あと個人的な面白ワードとしては、全ユニゾンファンをざわつかせた"小林くん 番号教えてよ 浜崎さん リボンかわいい"
あまりにも意味わかんない歌詞ですが、僕ら世代的には何となく既視感があるように思います。
読者の皆さんはご存知でしょうか?国民的アイドルグループだったSMAPの「BANG!BANG!バカンス!」という曲を。
最初にこの歌詞を見たとき、自然とこの曲のイメージが頭に流れてきまして。
夏らしいノリの良いナンバーなんですが、歌詞のに"男前だね 木村くん 当たり前だよ 前田くん 前田くんなんてうちにはいない"というフレーズがあります。
木村くんはまあキムタクこと木村拓哉のことだとしても、歌詞の通り前田くんなんてメンバーはSMAPにはいないので。
あまりの意味のわからなさに当時中学生だった僕も思わず笑ってしまいました。シュールすぎて爆笑というよりはクスリっといった感じで。
けどあまりに耳に残ってしまうので、未だに音楽番組の映像が流れると、いつもそこに注目して聞いてしまいます。
摂食ビジランテのフレーズにも同様の性質があると思うので、この尖りきったメロディのなかでのおかしな感じが逆に歪な魅力を生んでいるような。
そんな良い意味で肩の力を抜いた楽曲ゆえに、このアルバムの"わかる人だけわかればいい"という狙いを結果的に体現しているように感じました。
《ナツノヒ的ピックアップポイント》
先日フォロワーさんのブログで"麻痺"をテーマにした記事を見かけたのですが、僕もそれに倣ってネーミングセンスに関しては全て棚上げして逃げに徹しようと思います。(違う、そうじゃない)
この曲のピックアップポイントはこちらです。
"教育の死 すでに手遅れ 手詰まり故"
冒頭からなかなかに物議を催しそうフレーズから始まるのがこの曲。
ここまで記事を読んでくださる稀有な読者の方々(マジで感謝です)には言ってしまっても良いかなと思うのですが、僕の職業は教育関係でして。
最初にこのフレーズを耳にしたとき、驚きとそれ以上の納得をしてしまったことが強烈に印象に残っています。
そう、現代の教育は本当に死んでるんです。
これは僕の個人的な所見であるし、他の専門の人に聞いたら、まったく違う答えが出てくるかもしれない。
ただ、田淵が何気なく紡いだ言葉は、けっこう的を得ているように感じました。
具体的に何が原因…ってわけでもないし、年月とともに少しずつ変わっていったのかもしれません。もしかしたら初めからそうだったのかもしれない。
それでも僕がそう思う理由を一つだけ挙げさせてもらうとすれば、教える側の"人間力"の低下だと考えています。
教育ってめちゃくちゃ難しいんですよ。
教える側の言うことを全て聞かせようとすれば、多分社会で真っ当に生きれる人は育たないし、逆に教えられる側の好きなようにやらせても劇的な成長は望めない。
じゃあ、何が1番大切かって言われれば、どれだけ上手くコミュニケーションを取れるかだと思うんです。
こちらが教えられる側が何を望んでいるかを正確に読み取って、それに対して自分が何をして欲しいのかを相手に伝える。そうした上でその目標に何ができるのかを一緒に考える。
もちろん決定権は教えられる側にあります。教育における主役は教えられる側なので。
手段はいくつかあれども、教育ができることってこれだけしかないんですよね。結局やるかやらないかは受け手の気持ち次第なので。
要はどれだけ夢や目標に向けて、現実的な選択肢を提示できるか。そこに向けて、どれだけ精神的な部分の支えになれるのか。それに尽きるんですよ。
いつだって主役になれない。誰かの人生のバイプレーヤーでしかないのが、教育に携わる者の矜持だと思っています。
けど、今の教育業界はあまりにも主役になりたい人が多すぎる。
教えられる側を自分の作品か何かだと勘違いしてる人が圧倒的に多いんですよね。
極端な話をするならば、教育業界に入る人間っていうのは大概が人生における成功体験の多い人が大半だと思っていて。(僕は真逆です)
良くも悪くもポジティブで根明な人が多いと思います。
ただ、そんな人のタチが悪いところって、自分の考えが一欠片も間違っていないと疑いもなく確信している場合がめちゃくちゃ多いんです。
もちろん自分だけの問題ならそれでも構いません。疑わないことはとても大切なので。
だけど、誰かに何かを伝えるとき、それは逆効果でしかなくて。
当たり前ですよね、だって相手は自分と同じ存在ではないので。
自分と同じ様に扱うと、どこかで絶対にちくはぐな部分が出てきてしまうんです。
他人の人生を扱う以上、何かをしようとすればそれが正しいのかを疑うことは当然だと思います。何故なら自分で責任を取ることができないから。
そして、正しいと信じてやったことって、絶対違和感あるんですよ。何故なら相手のことをきちんと見れていないから。
他人のためにやることで自分の感情を優先すると絶対にうまくいかない。まあ当然の心理ですよね。
そんな当たり前のことを理解していない人が現代の教育業界には多いんですよね。とてもとても。
人のことを見なくてはいけないのに、見ようともしなければ、その状況に疑いすら持たない。
ただのポジティブなら何ら問題ないし、むしろとても良いことだと思います。
けれども、それが結果的に教える側の目を曇らせている。
この現状が僕はあまりにも恐ろしいし、教育というものの存在価値が揺らぐ程の事柄だと捉えています。
もちろん僕がどんなに鼻息荒く語ってもその問題は変わることはないし、できることはただ目の前の人に対して最善を尽くすことしかありません。
ただ何気なく田淵が綴った"教育の死"という歌詞があまりにも違和感がなかったこと、そして的を得すぎていることからピックアップポイントとして触れることにしました。
仕事の座右の銘が、「さわれない歌」の"ちょうど良い温度感であれ"である身としては、どうしても心に刻み込まれてしまうのです。
6.夏影テールライト
筆者名のナツというのは、自分の苗字が由来なんですが、漢字表記にすると"夏"なんですよね。
それが由縁でブログ名も「ナツノヒ」としてしまうぐらいに、"夏"の字には思い入れがあるんですけども。
ついにユニゾンの楽曲でも、"夏"の字を冠する曲が生まれました。
今回のアルバムでもMVが作成される程の重要な立ち位置でもあるのが、この「夏影テールライト」です。
提灯が夏らしさを醸し出す、ロマンティックな雰囲気のMVとなっています。
「Patrick Vegee」は、世の中が何もなければ、本来は「LIVE(in the)HOUSE」の開催日である7月15日発売を予定していたことが明言されています。
ちょうど季節は夏。この曲がMVに選ばれた理由も何となく推察できてしまいますね。
時期は少しずれ込んでしまいましたが、結果的に夏を名残り惜しむような…どこか寂しさも含まれる演出に繋がっていたように思います。
タイトルにもあるテールライトは、日本語訳をすると意味は尾灯、乗り物の後尾についている光のことを指しています。
とはいえ、意味はそのままの通りではなく、歌詞やMVでもピックアップされている線香花火をイメージしているように感じました。
車のテールライトと線香花火の灯火が重なってしまうのは僕だけでしょうか?
曲の全体像としては、線香花火の様な恋の儚さと美しさが浮かび上がってくる…そんな印象があります。
"けど 今のままじゃ儚いや 花火の音と消えてしまう"というフレーズが、花火と恋愛を美しく繋げています。
MVラストの線香花火の光がポトリと落ちていくシーンがやけに鮮烈に記憶が残っています。
今回のアルバムは滅多と出ないはずの、"恋"を連想させる曲が数多く収録されていました。
田淵の私生活やマインドが大きく変わった可能性もありますが、特にこの「夏影テールライト」は"恋"という要素が大きく関係しており、好きな人に対する誠実な思いが内包された歌詞が見受けられます。
前奏はどこか「流星のスコール」を彷彿とさせるメロディだと思うのですが、あちらも田淵の飾らない不器用な本音が垣間見える曲でもありました。
世の中には、言い方は悪いですがチャラついたり、モテない男性の恋愛ソングっていっぱいあると思うんですよね。
けれども、意外とないのが真面目な男性の恋愛ソング。
どこかのネットニュースで見ましたが、どうも男性というのは何かと合理的な思考で考えてしまう人が多いようで。
おそらく恋愛ごとも真面目に理屈立てて考えようとしてしまう人がけっこういるんじゃないかと思ってます。
でも、恋愛って感情も大いに関係あるから、それだけじゃ全然うまくいかない。そんな経験ある人もいるんじゃないでしょうか?
そろそろ察していただける方もいるかもしれませんが、僕もその一人でして…笑
個人的には、もしかするとユニゾンのラブソングで1番共感してしまったのかもしれません。
恋愛は理屈じゃないから諦められないけど、そんな自分もカッコ悪いから誰にも見せたくない…そんな誰も得しないような自尊心と戦い続けてるのが世の男性な気がしています。(言ってて恥ずかしくなってきた)
どんだけ自信で塗り固めても、"よくできてないから つついたらひびが入る"んですよね。
"どうしてこんなにも器用じゃないんだ"ってフレーズにギュッと心を締め付けられたのは僕だけじゃないはず。
歯痒いけど、大事なときほど力入りすぎちゃって、うまいこといかなくなるんだよなぁ…なんて変に入れ込みすぎちゃうぐらいには思いが強いです。笑
そんな不器用な思いも、田淵智也というライターにかかれば、素朴でかつ尊い言葉へと昇華していけるのはさすがの一言です。
うまくいかないことやわかんないことも、"これは僕の検証事項"と言って、投げ出さずに受け止めてしまうのは正直見習わなくちゃいけないなと思いました。
まあ結局いくら理屈立てて考えても、恋愛って感情面も大きいから、最後は"勇気を精査して"思い切らないと何も進展しないんですけどね。
ただ、どんなことでも純粋に向き合うこの気持ちは、共感と自分なりの言語化ができたようで何だか嬉しくなってしまいます。
"君の好きなこと 先回りして 吸い込んで どうか光"
"君の嫌なこと 推測をして 押し込んで どうか光"
"映し出せ その影を恋と呼ぶように"
好きなことは共有するし、嫌いなことはできる限り避けていこうというある意味で当たり前なことだけど、実行するってけっこう難しいんですよね。
それをあえて口に出せるのは素敵だと思うし、光が映し出した影を恋と表現するのも、タイトルの"夏影"に終着していくようで何とも感慨深くなってしまいます。
歌詞によく登場する"Miss.テールライト"はおそらく恋する相手だと思いますが、MVの印象も相まって線香花火をより克明にイメージできるのがグッときます。
表記が"Miss"なのも、"間違いにしないでよね"という歌詞に掛けているのだとしたら、そんな仕掛けも聴いていて心地よくなりますね。
このアルバムの特筆すべき点は、同期音を使わずに音づくりをしていることなんですが、この「夏影テールライト」も例外ではありません。
同期を使わないということは、ともすれば華やかさが足りない状況になってしまいますが、それを補うかたちでこの曲に多用されているのがコーラスです。
普段なら同期音が入る部分にコーラスを重ねていくことで、結果としてアルバムの意図を崩さないまま、物足りなさを感じさせない深みを演出することができました。
ライブなどでのユニゾンの魅力のひとつとして、リズム隊のコーラスの美しさがあると思うのですが、今回はそれがより洗練されたものに感じたので。
今後生の音を聞ける機会があれば、それがより克明に感じることができそうな予感がしています。
原曲を聴くだけでも、コーラスの耳心地の良さは他バンドの追随を許さないと思うので、これまた16年の積み重ねを感じて嬉しくなってしまいますね。
《ナツノヒ的ピックアップポイント》
アルバム曲もついに半分まで来てしまいました。いよいよもうこのままこのタイトルで突っ切るしかないですね…。
今回取り上げる歌詞はこちらです。
"ひとつずつ君を知れるなら 傷つくのも検討事項"
個人的に向こうみずな恋愛っていうのがあまり好きではなくて。
もちろん相手のために全てを投げ出せる!なんて考え方はとても素敵だと思います。
けれども、自分を大切にできないやつが果たして相手のことを大切にできるのか?なんて疑問が生まれてしまったりもしていて。
それを自分がやってしまうと、謎の違和感と嫌悪感がまとわりつくのが常なんですよね。
まあ相手に自分のことを大切にして欲しいからこそ、言っている自分がその矛盾を抱えないように生きたい…というただの自己満足なんですけども。
なかなか刹那的な生き方ができないのは性分ですかね。
とはいえ、相手に踏み込もうとすれば、守ってばかりじゃいけないのも事実です。
どんな相手とのコミニュケーションでも、自分が傷つく覚悟がないと、絶対に良い関係が築けないのは自明の理なんでしょうか。
じゃあ、そんなときにただ真っ直ぐに相手の懐に踏み込んでいくだけで良いのか…と言われると、それはめちゃくちゃ違和感があります。
相手のことを大切なときに何ができるかといえば、これまた前曲とも繋がりますが、考え抜くことじゃないかなと思います。
この歌詞は一見自分の身を守るための言葉にも聴こえますが、何となく本質はそうじゃないように感じました。
君のためなら傷つくことは厭わない、けどそれが本当にベストな方法なのかはきちんと考えてから実行するよ。
誰かのために自分を犠牲にすることって、言い方は悪いですが、大概は自己満足なんですよね。要は自分が気持ち良くなりたいだけ。
行いの良し悪しは置いておいて、相手の気持ちなんてまったく省みないこともザラです。
極論を言ってしまえば、それって親切の押し売りなんじゃないかなって。
結局は相手のことが全然見えてなかったりするんですよね。
だから、僕自身は相手のことをよく見れるし、よく見てもらえる関係にとても憧れる。
そんな関係になれるかわからないけど、一緒に先のわからない道を歩いていけるために最善尽くす。
そっちの方が安心できるし、仮にもし自分がそれを言う機会があればあまり違和感はありません。
それでうまくいかなかったり、傷ついたとしても、納得の上だと思うので。
だからこその"傷つくのも検討事項"なんだと考えます。
そんな風に地に足のついた考え方が大好きなので(つまらないってよく言われますが)、現実的かつ人間味のあるこのフレーズはけっこうお気に入りです。
まあしがない独身三十路手前男の恋愛観なんて誰が興味あんの?って感じなのですが。(ここまで言っといて今さらですが)
ブログは本当に好きなことだけ書いていきたいをテーマにやっているので、せっかくなのでこういう話も取り上げさせてもらいました。
個人的には初聴の感想もしっかりかたちにできたので、大満足なんですが。笑
…ようやく半分ほどまで来ましたが、どうやら相当な文量になってしまいそうなので、今回は前後半に分けていきたいと思います。
後半は何とか年内にUPできるように頑張っていけたら良いな…笑
今年はあと3本ほど記事をあげれたらと考えているので、12月は目標通りにいけるよう努力していきたいです。
え、本当にスケジュール通り書けるのかって?
"幻に消えたなら ジョークってことにしといて"