4月18日、Zepp OSAKA BaysideでUNISON SQUARE GARDENの自主企画「fun time HOLHDAY8」が開催された。
対バン相手はgo!go!Vanillas、15周年の翌年に対バンツアーを持ってくるあたりが、一筋縄ではいかない彼ららしいやり方だと思う。
僕自身もあのドM(僕じゃないです、ユニゾンが言ってるんです)なB面ツアーの後に見る初ライブであったので、約4ヶ月ぶりのユニゾンとの再会だった。
盛大に催された15周年イヤー後のライブということで、"いつも通り"の彼らを見れる…ある意味では僕らにとっては念願の機会となる1日であった。
何と言っても2019年最後はほぼカップリング曲で終えてしまったので、普段やっている定番曲ですら懐かしく思える、何とも奇妙な状況である。
今まで当たり前に披露していた曲がまったく聞けてないというのは、ラーメン屋さんでラーメンがメニューに載ってないような…物足りなさを感じていたのは事実だった。(まあ餃子もチャーハンも美味しいから無問題なんだけども)
だからこそ、ユニゾンファンが待ち望んでいたのが今日のライブであり、僕も久しく会えていない曲たちを心待ちにしていた。
対バン相手のバニラズの演奏が終わり、数十分の転換が始まる。
この時間、僕はいつも興奮を抑えることができない。
今日は一体どんなライブになるんだろうか、聞きたいあの曲はやってくれるだろうか、前の視界はこのまま良好なんだろうか、お客さんのマナーが良いと嬉しいな…色んな思いが駆け巡り、どうしても気持ちが逸ってしまう。
思いと裏腹に、時間経過は遅く感じたりするものだから、ライブ前に考え疲れてしまうなんてこともザラだったり。
そんな勝手に濃密な時間を過ごした後、いよいよステージが暗転した。
いつものように、登場SE「絵の具」が流れ、3人が順番に登場する。
定位置につき、各々の楽器にふれる…この始まる瞬間が一番最高にドキドキする。
始まる前の高揚感はいつまで経っても慣れないものだ。
1曲目はステージ全体を見る余裕があるからか、どんな曲から始まるのか、どこから音が発信されるのか…つい探してしてしまう。
ボーカルか、ギターか、はたまた同期音からか…できうる限り目と耳と働かさせる。
聞こえてきたのは、馴染みのあるドラム音だった。そして、
"I'm sane,but it's trick or treat I'm right,but it's truth certainly. Well then "awesome!" welcome to tragedy. Fake town,Fake town, baby?"
ボーカルの斎藤の流暢な英語から始まったのは、「fake town baby」だった。
1曲目からこの曲が来るなんて…誰が予想できただろうか。
この3ピースバンドは、どうやら今年も変わらず僕らをギタギタに揺さぶり尽くしてくれるらしい。
斎藤宏介のどこで息継ぎをしているんだという淀みない歌声もそれに引けを取らないギターテクニックも、田淵智也の激しいパフォーマンスも、鈴木貴雄の阿修羅のごときドラム演奏も…最高にいつも通りなんだけど、それがこうして変わらない姿で見ることができる。
「おかえり!」なんて野暮な言葉はいらないけれど、ただそのことが嬉しく感じてしまう、そんなひたすらに幸せを感じる時間となった。
ラストは斎藤の"さあ、勝算万全 お待たせ"…まさに今の彼らの心境を表す言葉だったと思う。
余韻に浸る間もなく、聞き覚えのあるメロディが…いや、でも、この位置にこの曲は…ありえるのか?
そんな焦りもまったく気にしないように、斎藤の「ようこそ!」が会場に響き渡る。
"スタイルは上機嫌だってさ 歪んだ過去は消せないの"
まさかまさかの…2曲目は「ガリレオのショーケース」であった。
いや、確かに例の法則には当てはまっているけども。
この「ようこそ!」枠こと2曲目には、過去のライブのラストを飾った曲が選ばれることは多い。多いけれども。
ライブで盛り上がる定番曲を、序盤で惜しげもなく使う感じ…ユニゾンというバンドの真骨頂を見ることができて、すでに僕のテンションも最高潮だった。…もう今日は無事に帰れる気がしない。
定番曲ゆえに、B面ツアーではセトリから外れたため、ライブ披露も久々だった。
こんな曲がカップリングに入っているなんて、つくづくこのバンドの底知れなさを感じる。
いつもの田淵のダンスも、"が、そう!"のシンガロンも、全てが楽しすぎて、日常のイザコザが全て止まったような…そんな多幸感が溢れていた。
軽快な三位一体のメロディで曲が終わると、斎藤の「UNISON SQUARE GARDENです!」の言葉とともに会場が暗転する。
再びステージが照らされると、「今日は…新曲を持ってきました!」と一言MCが挟まれる。
まさかの新曲…と思って耳を済ませると、待ち望んでいた"あの曲"の前奏が聞こえてきた。
3曲目は「Phantom Joke」、UNISON SQUARE GARDENとしては最新のシングルの表題曲である。
うん、確かに新曲ではある。
とはいえ、発売日は昨年の10月…B面ツアー中にリリースされたので、この時点ではほとんど披露する機会に恵まれていなかった。
大阪では初となるライブ演奏、観客のボルテージは否が応でも上がっていった。
演奏だけでいえば難易度MAXなこの曲を難なく弾く姿は、バンドの熟練度を感じたし、ライブでのポテンシャル十二分に理解することができた。
何よりみんなが待ち望んでいたこの瞬間、噛み締めるだけでは物足りないぐらいの、充実した4分間であった。
待望の「Phantom Joke」の熱量もそのままに、間髪入れずに鋭いギターサウンドが鳴り響く。
滅多に聞けない斎藤の野生がかった叫びが会場を駆け抜けていく。
これは、まさか…?
意外性も一周回ると受け入れてしまうものなのか。4曲目は「セレナーデが止まらない」だった。
ツアーとしては、2013年の「CIDER ROAD」以来7年ぶりのセットリスト入り。
レアな曲が聞ける「fun time HOLHDAY」ではあるが、この曲の登場を予期していた人がどれだけいただろうか。
歌詞に出てくる"君"は一体誰のことなのか。
今より少しだけ、気持ちを剥き出しにしている彼らの歌を聞けるのはとてもとても嬉しい。
そんな聞き馴染みの少ない曲たちが終わった後に、どこか懐かしさを感じてしまう鈴木の「1.2.3.4ー!」の叫び声。
5曲目は「場違いハミングバード」…舞洲ではセットリスト入りしなかったので、主催ライブとしては「fun time HOLHDAY7」以来約1年ぶりの登場か。
初期からずっとライブを支えている曲であるし、今更取り立てて語るべくこともない。
ただ、細胞レベルで楽しさを刻みこまれてしまっているので、自然と体は縦横無尽に揺れていた。
田淵の激しい踊りも、斎藤の今世紀最高にカッコ良い舌打ちも、全てが今日この時の特別な瞬間に思えてならなかった。
ここでステージが再び暗転する。怒涛のパフォーマンスが一旦終了した。この時点で汗は滴り、髪の毛はもうぐちゃぐちゃ…けれども表情は最高にイキイキしていたと思う。
メンバーが水分補給等を終えて、マイクの前に立つ。
暗転のまま美しいストリングスのメロディが流れると、客席から歓声が沸き起こる。
6曲目は「春が来てぼくら」、この時期にピッタリの選曲だと思う。
このシングルが世に出て、もう2年以上経つわけだが、実はまだアルバムに収録されてはいない。
ライブの披露回数からすると、もしかするとアルバムツアーではセットリスト入りしない可能性もあるので、よくよく噛み締めて聞いた。
そうでなくても、新しい1年の始まりに聞くこの曲は僕の心に染み入った。
曲が終わると再び暗転する。ここからはMCの時間となった。
いつも通り斎藤が軽妙な喋り口で淀みなく話を進めていく。
対バン相手のバニラズのライブが熱かったこと、ベースが怪我から復帰してからさらにカッコ良いライブをするようになったこと…などに語ってくれた
マスターボリュームのMVで、バニラズのドラムの様に鈴木が革ジャンを着ていたことにも触れ、「多分僕らはこういうバンドじゃないな…って思ってすぐやめたんでしょうね!」と過去の自分たちをイジリつつ、「そんな革ジャンが似合わない3人で引き続きお送りします」とMCを締めた。
そうして流れた7曲目は「WIODOW開ける」、いや、バリバリ革ジャン着てそうな人がやる曲やーん!って心の中でツッコんだのはここだけの話です。
トリビュートライブで「a flood of circle」の佐々木亮介がカバーしていたので、余計にそう思ってしまった。
とはいえ、"嫌いなんだよ、媚びんの"は通常営業の彼らを表した歌詞であるし、ここで披露するにはまさにピッタリであったとしか言えない。
前奏が流れたときの歓声は、この曲を待ち望んでいた人がどれだけいたのか、推し量るには充分すぎる出来事だった。
そのままライブは8曲目に…ここでも聞き覚えのある前奏が。フェスなどの大きい会場では何度も聞いたが、ライブハウスで聞くのはまた格別の魅力に溢れていると思う。
斎藤の「天国と地獄!」の声とともに、今日何度目かの歓声が湧き上がる。
最近はどちらかといえばフェスでの披露が多かったので、ツアーでの登場は実は2年半ぶりとなる。
有名曲ゆえにフェスだとシンガロンの対象になりやすいが、今日は勝手知ったるファンばかりなので、それも抑えめであったように感じた。
何より斎藤の"OK,People one more time!"の色気が日に日に増している気がするので、客席の僕らは平常心を保つことにとんでもなく苦労させられた。
ここからは再び怒涛のステージが続いていく。
9曲目は「オトノバ中間試験」、舞洲やロッキンオンでの披露が記憶に新しいこの曲。
2020年はもしかすると乱発していくのかもしれない。
多幸感満載のメロディは、ステージ上のメンバーを自然と笑顔にしていき、会場の熱量をさらにもう一段階引き上げていったように思えた。
途中で入った「オンドラムス、タカオスズキ!」も鈴木の楽しそうな笑顔が印象的であった。
ここ最近の彼は実に楽しくドラムを演奏していると思う。
ちなみに"呆れるまで斎藤に任せといて"のシーンは、田淵が斎藤の前に現れ、しゃがみながら指を刺すという新しいパターンであった。
相変わらずバチバチに仲の悪いバンド(公式)である。
さらには前半とは異なる軽快なテンションでの、鈴木の「1.2.3.4!」から始まった10曲目は「桜のあと(all quartets lead to the?)」。
終盤にここまでポテンシャルがある曲を残しておけるのは、ライブを生きがいとする彼らだからこそ為せる技であると思う。
今回の「fun time HOLHDAY8」にあやかって、何か曲を入れたとするならば、8枚目シングルであるこの曲かもしれない。
舞洲でも終盤に登場し、散々観客を沸かしたこの曲は、今回も同じ立ち位置で僕らの心に確かな満足感を与えてくれた。
何度見ても、"目の前の君が明日を生きれるぐらいには"で、鈴木が僕らを指してくれると嬉しくなってしまうね。
そこから間髪に入れずに、「レディスエンジェントルメン、ライ、ドオン、ターーイム!!」と斎藤の声が会場に響く。
11曲目は「ライドオンタイム 」、2月のフェスで披露され、全国のファンが羨んだ曲だ。
何を隠そう僕もライブに行けず悔しい思いをしたので、この選曲は嬉しいサプライズだった。
初めてライブで聞く「ライドオンタイム 」は楽しさに溢れていて、ここでも自然と体は揺れていた。
11曲とは思えない疲労感はあったけれど、それすら吹き飛ばしてしまうぐらい、幸せパロメーターは振り切れてしまっていたと思う。
そんな楽しい時間もいよいよ終わりを告げられてしまう。
「大阪最高でした…ラスト!」の声とともに始まったのは、これも聞き覚えのあるドラムからのイントロが。
そう、最後は彼らの代表曲「シュガーソングとビターステップ」であった。
過去に「シュガーソングとビターステップは嫌いだ」なんて文章を作ってしまうぐらいに、この曲には色んな想いがある。
だが、B面ツアー後に久々に出会った瞬間、そんな気持ちはどこかに飛んでいってしまい、純粋にこの曲が好きだった時代を思い出せた。
思えば代表曲ゆえに、ツアーでのラストを任せされることは今までなかった。
15周年という特別な時間を経て、この曲も立ち位置がどんどん変わっていくのかもしれない。
そんな考察は一旦横に置いて、馴染みあるメロディたちは温存されていた分だけエネルギーが満ち溢れていて、意図せずともオーディエンスを巻き込んでさらに熱量を高めていた。
ユニゾンのライブに行くといつも思うが、この終盤の夢心地な空間はうまく説明ができない。
ただ、昂って涙を流してしまう人がいるぐらい、この時間が尊いものなんだと感じることはできた。
最後のメロディも繰り返し行うラスト仕様で、ライブ本編は終わってしまった。
「UNISON SQUARE GARDENでした、バイバイ!」
そんな斎藤の言葉とともに、3人がステージを後にする。
もっと彼らの演奏が聞きたい…そんな想いが溢れて、終了後まもなく手拍子が始まっていく。
アンコール不要論なんてものも出ているが、やっぱりこの瞬間は続きを求めてしまう。
数分の手拍子のあと、再びステージに明かりが着き、歓声とともに3人が現れる。
そうして、楽器を持つと鈴木がドラムを鳴らし始める。
この馴染みのあるドラム音…
EN1曲目は「きみのもとへ」だった。
ツアーでやるのは、2015年の「プログラムcontinued 」以来か。
個人的な話になるが、ユニゾンを好きになった当初アルバムを聴き漁ったなかで1番好きな曲だったので、ここで出会えたことに喜びを隠せなかった。それこそ、静かななかで1人歓声をあげてしまうぐらいに。
"だけど be to be"の歌詞の意味は未だによくわかっていないけど、それでもつい一緒に歌ってしまう。
久しくやってない曲なのに、それでも曲についていける観客もさすがだな…って思ってしまったり。
斎藤が「アンコールありがとうございます!」と言えば、再び歓声が上がる。
アンコールのMCでは、今日でftH8が最終日であること、色んなカッコ良いバンドと対バンできて楽しかったことなどについて話をしていた。
あとはあの例の"おぞましい"グッズについてもすこーしだけ触れていました。笑
最後に「2020年は"いつも通り"のUNISON SQUARE GARDENに戻るけど、変わらずカッコ良いライブをしていくつもりなので、楽しみにしていてください」という言葉で締めていた。
そして、「UNSON SQUARE GARDENでした!」の言葉とともに、正真正銘の最後の曲となった。
"高らかに 空気空気両手に掴んで 咲き誇れ美しい人よ そのままペースアップして Invisible Sensation 大胆なモーションに終始して face to face"
アンコールラストは「Invisible Sensation」、1曲目の「fake town baby」と対になっているところが何とも心憎い。
ポップとロックを併せ持ったこの曲は、まさに通常営業の彼らを表現するのにふさわしいし、何より"生きて欲しい!"のただ一言でどれだけ励まされる人がいるのか。
斎藤の早口の歌声も、ラスサビ前のギター演奏も、アンコールのこの位置で聴けるからこその特別感が心地良かった。
メロディが終わった瞬間の「バイバイ!」で名残惜しさも強かったけれども、2020年のいつも通りの彼らをこれから見れる楽しみも同時に湧き上がってきた。
夏以降はワンマンツアーもあるのかもしれない。ひとまずはそれが楽しみでならない。
fun time HOLHDAY8 セトリ
2.ガリレオのショーケース
3.Phantom Joke
4.セレナーデが止まらない
5.場違いハミングバード
6.春が来てぼくら
7.WINDOW開ける
8.天国と地獄
9.オトノバ中間試験
10.桜のあと(all quartets lead to the?)
11.ライドオンタイム
EN1.きみのもとへ
以上、コロナウィルス流行でライブにまったく行けていない男の妄想ライブレポートでした。
はよコロナ収束してくれ〜!