今回の記事はハグルマルマさんの企画、「LIVE(in the)BRAIN」に参加するにあたって執筆したものです。
詳細は上記の記事よりご覧ください。
自らの脳内で考えたセトリについて語る今回の企画…妄想、特にユニゾンに関しては他の皆様よりも一日の長がある私(気持ち悪いね)。
考えてみると、2020年から大体年一ペースで書いてるんですね。このペースはさすがに自分でも引いてます。いや、マジで。
とはいえ、せっかくの楽しい企画。妄想自体は用法用量さえ守れば、夢と楽しさ溢れる素晴らしいものだと信じてやまないですし、せっかくの機会を存分に楽しむこととします。
今回の企画は自身でテーマを考えるわけではなく、参加者それそれが考えたテーマをランダムに振り分け、与えられた内容を書いていくことになっています。
僕が担当するテーマはこちら。
「シュガーソング シングルツアー(シュガー以降の楽曲も可)」
…うわお、これはまた難解そうなテーマに当たってしまいました。
ユニゾンにとって最大のヒットソングであり、代表曲でもあるこの曲は、なるほど確かにセトリに入れるだけでライブの完成度を増してはくれますが…いざ中心に添えるとなれば、余りあるパワーでセットリストの全体像が崩れる危険性さえ孕んでいます。
…これは単純に組んだだけでは、ただシュガソンを盛り立てるだけの記事で終わってしまう。
そんな僕を含めた物好きが満足しきれないライブに成ってしまうのでは?
しかし、過去にこんな記事も投稿してる身としては、曲のためにセットリストが存在するというのは何とも納得がいかないところ。(これが妄想だと言うことは遠い彼方へと消し飛ばします)
ライブにおける曲の役割とは、基本的にセットリストをより良いものにしていくことであるはず。
たとえシングルツアーだとしても、それは変わりありません。
そのため、セットリストを作るにあたって、根幹となるようなアイデアは何かないかと考えました。
そこで思い出したのは、10周年記念アルバム「DUGOUT ACCIDENT」。
このアルバムは発売こそ後発ですが、「シュガーソングとビターステップ」より以前から制作が決定していたことがインタビュー等で語られています。
ということは、そのツアー的ポジションである「プログラムcontinued」もそれより前に開催されることが決まってたのでは?
そして、「シュガーソングとビターステップ」という曲の存在でUNISON SQUARE GARDENの知名度は間違いなく上がりました。
…もしかして、タイミング的にライブに行きたくても行けなかった層もいるのでは?
そこで思いついたアイデアがこちら。
「プログラムcontinued」の追加公演的ツアーがあったことにして、それを「シュガーソングとビターステップ」のシングルツアー的立ち位置にすれば良くね?
たかが妄想、されど妄想。やはりしっかりとしたテーマがあった方が筆も乗るというもの。
大枠を「プログラムcontinued」ツアーのセットリストに準じたものとして考え、そこに「シュガーソングとビターステップ」のシングルツアーとしての特色を出すことをメインテーマとしました。
個人的には自由にセトリを考えるよりも、ある程度の制限をかけた方がやりがいも上がる気がしているし、書いていく上でひとつのスパイスにもなり得ると考えました。
あと「プログラムcontinued」ツアー自体も、「DUGOUT ACCIDENT」の収録曲を全て網羅したわけではないので。
まだまだ掘り下げ甲斐のあるツアー…といった側面も、このアイデアを採用した理由になります。
まあ「プログラムcontinued」自体に追加公演があったりもするんですが、あくまでそのツアー自体の追加公演ですので、そこらへんは思い切りスルーすることにします。
そして、ツアー名は「プログラムcontinued PARTY」と名づけました。
意味は多分読んでいけば伝わると信じているので、詳しくは説明しないでおこうと思います。
大枠の設定としてはこんな感じ。
①ツアー「プログラムcontinued」の追加公演。時期は2016年3月25日(Dr.Izzy発売の発表日)から2016年5月13日(パンデミックサドンデスMV公開日)まで。(この頃にあったUNICITY ライブは少しずれ込むこととします)
②追加された要素として、「シュガーソングとビターステップ」のシングルツアー的な立ち位置でもある。
③まだUNICITYも黎明期であるため、会員は1人1公演は参加できる方向で募集をかけている。
④なので、シュガビタのカップリングやレア曲なんかもやるかもしれないし、別に行かなくても良いツアーではない。
⑤前ツアーでやらなかった「DUGOUT ACCIDENT」の曲はやるかもしれないし、やらないかもしれない。(まあ通例を考えれば…ね?)
⑥時期的にシュガビタ以降の曲はまだリリースされていないが、(シュガー以降の楽曲も可)は何かしらの部分で活かしていく。
⑦直近のツアーやライブはもちろん、数ヶ月後に控えた「Dr.Izzy」ツアーのセットリストとの統合性も可能な限り考慮する。
以上の決まりごとを前提として、今回セットリストを考えました。
ちなみに大元のツアーである「プログラムcontinued」のセットリストはこんな感じ。
1.さわれない歌
2.kid,I like quartet
4.天国と地獄
5.きみのもとへ
6.流星のスコール
7.オトノバ中間試験
8.シューゲイザースピーカー
9.桜のあと(all quartets lead to the?)
10.オリオンをなぞる
11.チャイルドフッド・スーパーノヴァ
12.夕凪、アンサンブル
13.誰かが忘れているかもしれない僕らに大事な001のこと
14.シャンデリア・ワルツ
15.パンデミックサドンデス
16.ドラムソロ〜セッション〜徹頭徹尾夜な夜なドライブ
18場違いハミングバード
19.プログラムcontinued
EN1.黄昏インザスパイ
EN2.箱庭ロック・ショー
EN3.ガリレオのショーケース
このセトリを前提として考えるので、音源を聴いておいた方がイメージもしやすくなると思われます。
6thアルバム「Dr.Izzy」の初回限定版にライブ音源が収録されていますので、まだの人はマストリスーン(できればね)(聴かなくても読むこと自体は問題なし)。
では、これらを踏まえて発表していこうと思いますが、せっかくの妄想セットリスト…解説していくのもアリですが、その熱量も余すことなく伝えたいところ。
というわけで、これ以降は実際に参加した体として、ライブレポ風に書いていきたいと思います。
どんなセットリストになったのか、ぜひ読み解きながらお楽しみください。
ちなみに筆者は「プログラムcontinued」ツアーに参加していますが、まだ好きになって2年という非常に年数が浅い頃合いだったので。
当時の感覚をなぞりながら書いていきたいと思います。
そのため、普段よりも少しばかり表現が稚拙になるかもしれません。ご理解ください。
それでは、ライブレポ「プログラムcontinued PARTY」、はじまりはじまり〜!
2016年春、今日も僕はライブへと足を運ぶ。
最近特に好きで聴いてるロックバンド「UNISON SQUARE GARDEN」のライブに。
2年半前に自分の大学の学祭でライブをして以来、ハマりつつあるこのバンドのツアーはようやく3回目の参加といったところだけど(実話です)、何も考えずに楽しめるライブは貴重だから期待しかない。
好きになってから出た曲もどれも最高で、特に「天国と地獄」はMV見て以来大好きだし(その数ヶ月後にサイレンインザスパイからの3連星でようやくCITSに心掴まれる)、「シュガーソングとビターステップ」はこの1年で何度聴いたかわからない(現在ではだいぶ状況に乖離がある)。
前ツアーも文句なしに楽しかったのだが、今回はその追加公演的なツアーであり、色んな意味で予想がつかないライブとなりそうだ。
ひとつだけわかっているのは、前述の「シュガーソングとビターステップ」のシングルツアー的な立ち位置であること。
「シュガーソングとビターステップ」の認知度がどんどん上がっていくなかで、ライブに行けない層が出てきたが故の追加公演であるらしい。
シングルツアーは初参加が「桜のまえ」だったので、確かに参加した記憶はあるが、初めてだったからか朧げにしか覚えていない。
ただ、「シュガーソングとビターステップ」は社会人になって初めて給料で買ったCDなので(これまた実話)、思い入れもとても強い。
そんなシングルがフューチャーされるとなれば、参加する以外の選択肢は存在しない。
まだまだ知らない曲もたくさんあるが(JET CO.とか新世界ノートとか)、それでも楽しいライブを期待して、今日も会場へと向かう。
今回はせっかくなので文字にしてみることにした。
正直ライブ中に全ての曲は把握できなかったけど、後々ネットなど得た情報を照らし合わせながら、できるだけ記憶を蘇らせつつ書いていこうと思う。
この楽しさを少しでもたくさんの人にわかってもらえることを願って(※妄想です)。
開場後の待ち時間には未だに慣れない。それは僕がライブというものに緊張感を持っていることも大きな理由だと思うが、待ちきれないほど時間が過ぎるのが遅いという要因も多分に含まれている気がする。
待ちすぎて逆に疲労してしまう謎の現象に苦笑しながらも、ようやくといった感じで会場の明かりが落ちる。
お決まりのSEとともに3人がステージに登場し、そのたびに拍手が巻き起こる。
この瞬間は何ものにも代え難い。
そして、各々が楽器を携えて、示し合わせるようにお互いが見える位置に体を向ける。
斎藤宏介(Gt.&Vo.)のギターを中心としたメロディが音の口火を切り、アンサンブルが会場に音が鳴り響いた。
ゆっくりと音を刻みながらも、徐々に高揚していくようなメロディへと変わり、セッションは最高潮を迎える。
この時点では、どの曲なのかはわからない。それぐらいに完成度の高いセッションであった。
だが、その答えは斎藤の歌声とともにすぐに導かれた。
"シグナル それはシグナル 君が忘れていた桃源郷"
1曲目は「シグナルABC」、「シュガーソングとビターステップ」のカップリングであり、このツアーでスポットが当たることを約束された曲であった。(セッションはBsSsツアーを思い出そう!)
考えてみればまったく違和感はないのだが、カップリングが1曲目を飾る状況が当たり前でないのは僕でもわかったし、かなり風変わりなことをやっていることだけは理解できた。
それでも開幕は文句なしでカッコよかったし、散々音源でカップリングを含めて聴いてきたこともあって、不思議と違和感はなかった。
何よりこの曲はライブでやるだけで楽しい!
1曲目に来た意味はそれだけで十分だったと思う。
"君にだって命はある 思い出したのなら 目を開けて"
慣れない社会人生活に苦心していた自分にとってはそのフレーズはあまりにも救いだったし、その存在を認めてもらえたようで何だか嬉しくなってしまった(今はパンデミックサドンデスで毒吐いてるけど)。
そんな意表をつかれた始まりであったが、その後はさらに揺さぶりをかけられることとなり…?
「ようこそっっっ!!!」
そんな斎藤の盛大か叫びとともに、ライブが次の曲へと切り替わる。耳に入ってきたのは、聞き覚えのあるはずなんだけど、少しだけ異なる鈴木貴雄(Dr.)のドラム音。
予想外の衝撃…さすがにこれには度肝を抜かれた。
だって、そうだろう?
"さも当然のように悲しみは今日もやってきて"
まさかツアー名にもなっている「プログラムcontinued」が2曲目に登場するなんて、きっと誰にも予想できないはずだ(19年ロッキンリスペクト。数年後には常套手段と化します)。
この曲は前ツアーである「プログラムcontinued」では本編のラストに配置されていた。
無論、今回のツアーでも最後の方に来るものだと思っていたし、違うにしてもまさか序盤に出てくるなんて思わない。
後でSNSを確認すると、斎藤宏介がニヤッとしたり顔をしていたというから、これはもう確信犯的な企みだったのだろう。
UNISON SQUARE GARDENというバンドの底知らなさを垣間見た気がした。
この曲はユニゾン結成10周年を祝うアルバム「DUGOUT ACCIDENT」に収録された曲であり、かの代表曲「フルカラープログラム」のアンサーソング的な立ち位置の曲らしい。
僕はまだこの曲に隠された意味を読み取れてはいないけど(7年後にはこんな文書いてます)、前ツアーの終わりが壮大で記念のツアーにピッタリだったことは覚えている。
ライブで披露されるときの印象が前回とはまるで変わっており、セットリストの奥深さを感じるとともに、これからもっとライブを楽しむことができるような…そんな喜びも感じた。
それでも曲そのもの印象はまるで変わらず、前ツアーの記憶をそのままに僕らを楽しませてくれた。
"きっと何にも変わらないけど 依然continued"
まさにこのツアーの根幹を言い表したかのような予感に包まれ、あっという間に2曲が終わってしまう。
瞬間、鈴木が軽快にドラムを鳴らす。
3曲目は「箱庭ロック・ショー」、この時点で前回のツアーとまったく毛色が違うことを思い知らされる。
意外とライブで登場することが少ないこの曲であるが、前ツアーではアンコールに登場しており、どちらかといえばひっそりと演奏されている印象もあった。
今回ももちろん大歓声が起こっていたが、それはどこか驚き混じりで…まるでこんなところで出会うことなんて誰も予期していないようであった。
ただ、僕はもちろんみんなも大好きなこの曲、嬉しくない人なんているはずもなく、曲の始まりとともに自由に体を動かすオーディエンスで客席は溢れていた。
"全てのストーリーを流線型にしたいくらい"
"溢れ出す風景を、ステージ、そこに見たいぐらい"
サビのカッコ良さに目を当てられながらも、ライブ映えする楽曲に心も体も高揚する。
斎藤の見る者全てを虜にするギターソロも、衝動に身を任せてしまいたくなる後奏も…どれもが観客の熱量をさらに引き上げていった。
それ保つように、斎藤が盛大にギターを鳴らして、ステージの3人の熱量の演奏はさらに激しいものとなる。
"スタイルは上機嫌だってさ 歪んだ過去は消せないの"
そんなお決まりのフレーズで登場したのは、「ガリレオのショーケース」…田淵智也(Ba.)が激しくステージを駆け抜けた後に鳴らすベース音も心地良く、定番曲の登場に観客の熱量もここまでの最高潮へと跳ね上がっていく。
「DUGOUT ACCIDENT」で新録されたこの曲は、今でしか出せないユニゾンらしさを集約した曲のひとつであり、10年以上経っても愛される彼らの楽曲の魅力を体現しているようだった。
"ああ 転がり出してきた 反転性の残像 ああ ガリレオのショーケースは空っぽだ"
お決まりのフレーズに手を上げて、体を揺らして応える観客たち。
これだけで楽しい。今日来て良かったと心から思えた。
"毎日 が、そう!"
ステージの端にいた斎藤と田淵が駆け抜けるようにマイクに向かい、楽曲の1番の盛り上がり所へと突入する。
示した合わせたかのように観客が3人の言葉をなぞっていく。
そんな序盤とは思えないエネルギーで目まぐるしくライブは続き、UNISON SQUARE GARDENの凄まじさと楽しさをそのまま表しているようだった。
そして、それを損なうことなく後奏に入り、最後はキレの良い音で曲を終える。
斎藤の「UNISON SQUARE GARDENです!」の一言でライブの幕開けを締めくくり、ステージが一度暗転する。
「プログラムcontinued PARTYへようこそ!」
そんな斎藤の言葉でステージに再び明かりが灯る。
「みなさん体調とか大丈夫ですか?しんどくなったら遠慮せずに休憩してくださいね。今日その場所はあなただけの空間なので、自由に楽しんでいってください!よろしく!!」
そんな気遣いと"自由"という言葉に少しだけ喜びを感じて、思わず拍手をしてしまう(今回は10周年前後特有の語る系のMCです。ぶっちゃけこれで好きになったところもある)。
同じように考えたオーディエンスもたくさんいたようで、拍手は自分が思っていた以上に大きいものになった。
拍手が鳴り止んだ瞬間に斎藤がギターを鳴らし、ライブが再開していく。
"その声がする方へ僕は歩き出す 君の待つ場所へ"
再開の1曲目は「cody beats」、色んなシングルを出会ってきたが、初期からずっと聴き続けてきた楽曲と出会えるのは喜びもひとしおとなる。
"セロファンのテープで貼り直した 歪なボーイミーツガール"
ポップな曲、ロックな曲、ユニゾンには色んな曲があるが、こうやってどこか焦燥を駆り立てるような曲は何だか貴重だ。
楽しげな「シュガーソングとビターステップ」のシングルツアーのセトリにこの曲が選ばれた意味はどこにあるんだろうか?(答えはジャケ…)
"夜が明けないのを 誰かのせいにするやつは もうどっか行ってしまえ"
ここまでの激しい雰囲気を整えるような…そんな心身が引き締まる思いを感じながら、焦燥に身を任せた演奏に聞き惚れる。
そこから一転、今度は鈴木が軽快にドラムを鳴らす。
続いては「誰かが忘れているかもしれない僕らに大事な001のこと」、カップリングだったはずがベストアルバムに収録された異色作でもある(ぶっちゃけ当時はロクに聴いてなかった記憶がある)。
前ツアーで出会ってるとはいえ、まだまだ聞き慣れなさをあったが、確かにメンバー(というか田淵が)がベストアルバムに選ぶのも納得の底抜けな明るさが感じられた。
"人間に底はない 牛乳瓶にはあるのに"
"愛してるそれだけ それだけで十分です"
ユニゾンらしい耳心地の良い歌詞にも心が揺さぶられて、おぼろげな期待が芽生えていた。
この曲はいずれ大好きな曲になるかもしれない…そんな予感は数年後に当たるのか?外れるのか?どちらなんだろう(ネタバレですが、Or,Orでめちゃくちゃハネます)。
新鮮さを感じた後は慣れ親しんだものが欲しくなる…そんな人の心理をユニゾンはよくわかっているのだろう。
誰もが馴染みのある前奏がステージから響き渡り、客席から何度目かの歓声が上がる。
この前奏はみんなが喜ぶやつだ。
「23:25」は僕だって大好きだし、みんなだって愛してやまないはずだろう。
中盤で差し掛かろうとするあたりで、ここまでで1番の多幸感で会場が包まれる。
過去のライブで1度出会ってるらしいが、序盤も序盤で記憶も朧げだったし、その頃は「JET CO.」はあまり聴けていなかったので(白状すると、Porpulus Porpulusばっか聴いてました…)、きちんと向き合ってライブで聞くのは実質今日が初めてだ。
この曲で特筆すべきはやはり田淵のベースだろう。
ここまでベースのメロディで魅せることができるのか…今まで感じとったことのない新世界を生で感じることで余計に鮮明に際立っていった。
"帰ろう 世界へ"
そんなコーラスに対して、思い思いの所作で表現するオーディエンスたち。
ライブの終盤だと"世界"は現実世界みたいなイメージだろうけど、今はまだ序盤も良いところだ。
じゃあ、何に向けて歌っているのか?
10周年という記念すべき期間が終わり、いつも通りの状態に戻っていくこと。
そう直感的に浮かんだ考えは間違いじゃない気がした。
ポップで…だけど鋭いメロディで締めくくり、これまた何度目かの歓声と拍手が巻き起こった。
間髪入れずにギター音が鳴り渡り、今度は3人による(どことなく桜のまえ感のある)セッションが始まる。
ギターが主軸となって鳴らす様は、ロックさを全面を出した曲が披露されることを予感させ、そんな系統の曲を好む僕の心は踊りだす。
セッションを終え、聞き慣れた前奏が聞こえてくると…
"よん、まい、めぇぇぇーー!"
8曲目は「ため息 shooting the MOON」(4の倍数は8!)、段々と高まっていた熱量がここで一気に解き放たれていく。
歓声をあげたり、体を派手に動かしたり、思い思いの所作で自分の内から湧き出てくる衝動に身を任せる様が何とも心地良かった。
激しい曲調に負けないユニゾンの演奏も圧巻で、まさに原曲そのものを聴いているようで、改めて演奏力の高さを思い知らされた。
逆に最後の3人それぞれのソロの場面では、観客同様に思い思いの演奏を奏でており、原曲以上の激しさを見せつけられた。
最後は3人が後奏で盛大に余韻を奏で、次の楽曲へと変わっていく。
聞こえてきたのは、それまでの激しさをガラッと変えるような爽やかなメロディ。
でも、3人は誰も演奏していない。
一体どこから聞こえるのだろう?
答えは場所よりもメロディで気がついた。
どうあろうとこのメロディは忘れられそうにないから。
4thアルバムを象徴する楽曲「to the CIDER ROAD」は登場するだけで僕らの心を満たしてくれる。
田淵智也が作り上げた爽やかな前奏を経て、力強いギターやドラムを鳴り響く。
"さあ 君は何を何をしよう?"
"本当は弱さは強くて 涙こそ道標"
"君だけの手 誰も邪魔するな 予感はどこだ"
耳にするだけで救われそうな歌詞にグッと心を掴まれながら、炭酸の道で心身洗われるような気持ちになり、日常の薄暗い気持ちが浄化されていくようだった。
日常を支える力強い意志を垣間見せる音楽が彼らの真骨頂であり、今だけは自分にとってのヒーローに見えた。
そんな思いを知ってか知らずか…?
続け様の激しいセッションとともに、ギターが、ベースが、ドラムが…各々のポテンシャルを最大限に発揮するためかのように音を鳴らし上げる。
最高潮のステージには、最高潮の楽曲が望ましい。
そんなことは誰に言われなくても相場が決まっている。
「オリオンをなぞる」はみんなにとっての最高の楽曲で、僕らにとっての紛うことなきヒーローだ。
慣れ親しんだメロディが確かに僕らの心を救い、同時に目新しいセッションがまた違った魅力を再認識させてくれた(セッションは前ツアー準拠)。
僕にとってもユニゾンを知ったきっかけでもあり、あの頃から1mmも変わらず大切な曲のままだ。
それが今日も当たり前のようにカッコよく最高の演奏を奏でていく。
これを幸せと言わずに何と言うのであろう。
きっとこの景色は何があろうとも変わらずに見続けることができるのだろう(大正解)。
でも、今日見れる景色はただ一度だけだから(その通り)。
余すことなく見届けなくてはいけない…そんな気持ちを抱いていた。
"ココデオワルハズガナイノニ"
まさにこのライブを言い表したような歌詞を放ち、最後は後奏で盛大にとでかい音を鳴らしきり、万感の歓声と拍手に包まれる。
「ありがとう!」
そんな斎藤の言葉とともにステージは再び暗転した。
メンバーが水分補給などを済ませると、斎藤の声が耳に入り、ステージの明かりがついてMCの時間となった。
MCの内容は、
・去年は色んな場所にツアーで行けて、その街のおいしいものを食べれて楽しかった
・今年に入ってからはレコーディングばかりしていたので、こうやってライブができるのがめちゃくちゃ楽しい
・今回は「プログラムcontinued」の追加公演的なツアーでもあり、前回「DUGOUT ACCIDENT」でやらなかった曲もいくつかある
「次はそのなかで久々の曲をやりたいと思います」
そういって楽器を構える3人。
ステージから聞こえてくるのは、煌びやかメロディ。
ミディアムなテンポなかで彩られるメロディが、暖かくも静かに心を高揚させてくれる。
「未完成デイジー」でしか満たされない幸せがそこにしかないと無意識のうちに実感させられてしまう。
前述の学祭のライブでは、セットリストは11曲で構成されており、ほとんどの楽曲はそれ以外の場でも披露されている印象がある。
だが、この「未完成デイジー」だけは、自分が参加した他のライブでも、ライブ映像でさえも…ここまで見かけることはなかった(ちなみに10年経っても原曲は出会えていない)。
それがようやく聞くことができたことも感慨深いが、何よりあの頃は読み取れなかったフレーズにグッと心を掴まれていった。
"いつか僕も死んじゃうけど それまで君を守るよ"
"呼吸のような興奮を誓うよ"
決して大袈裟ではないんだけど、確かに思いの溢れたフレーズは、まさに言葉だけでその幸せの魅力を感じさせるような価値があった。
バンドサウンド以外のメロディもより楽曲を色鮮やかなものにしていき、未来への期待値に思いを馳せていく様が何とも心地良い。
この時間が終わっても、幸せな未来は続いていく…その思いは気づけば確信へと変わっていた。
そんな余韻に浸りながら…今度はゆったりとしたベースの音が奏でられる。
"飲みかけの紅茶に昨日の悔いを溶かして 僕は今更になってそれを飲み干した"
12曲目は「東京シナリオ」、こちらも「シグナルABC」と同じく「シュガーソングとビターステップ」のカップリング曲である。
思えば大半のユニゾンの楽曲は友人から借りていたので、ちゃんと自分で買ったのは「シュガーソングとビターステップ」が初めてだった。
だからこそ、ライブで聞けることは素直に嬉しいし、それかカップリングであれば、なおのこと貴重な機会なんだと思う(現実でもやってくれ)。
"不器用で小さすぎる願いを 叶えるように歩いていこう"
先ほどの「未完成デイジー」とはまた異なる…じんわりと心に染み入る様もまた心地良い。
普段のバラードとは違った印象のベースサウンドメインの演奏も新鮮さを与えてくれた。
たかがカップリング、されどカップリング…これだけの満足感を与えてくれるUNISON SQUARE GARDENの底知らなさを改めて感じだ。
「新曲をやります!」
暗転による幕間から斎藤の声が響き渡り、客席も大きな歓声で沸き立った。
「パンデミックサドンデス!」
鈴木の激しいドラムから激しいメロディが会場中を貫き、焦燥に駆られるような目に見えないどよめきに包まれる。
この新曲「パンデミックサドンデス」は、前ツアー「プログラムcontinued」でも披露されており、海外ドラマの主題歌にも起用されるなど…耳にしたことがある人も多数いる楽曲であった。
僕も前ツアーで聞いており、タイトルからして好みであったのだが、残念ながら記憶は朧げであった(この頃はセトリも全然覚えられなかった)。
そんななかで改めて聞いた新曲…率直に言って、ドンピシャで好みだった。
ゴリゴリに尖ったバンドサウンド、耳を引く歌詞たち、2番の冒頭の斎藤の歌い方…そのどれもが自分の心に刺さりまくって、一瞬で高揚感が芽生えていた。
"ああ、全部全部意味わかんない"
聞き取れた歌詞はそこだけだったけど、どこかに存在する何かに向けた歌詞は、僕の心を確かに少しだけ救ってくれた。
いつまでもステージから目を離せなかった。それぐらい強烈な主張を感じる曲であった。
後奏の激しい演奏を終え、一瞬の静寂の後に次のステージへと移る。
"悩んでないのに朝は来て 悩んでないのに夜は来る"
聞き覚えのある歌詞と斎藤のギターによるメロディが直前の雰囲気を変える。
そこから脳裏にあの摩訶不思議なMVが浮かんでくるような電子音のメロディが聴こえてくる。
照明はカラフルに様々な色へと変わっていく。
途端に田淵がリズム良く体を動かしていく。どよめきに近い歓声に包まれる会場。
「MR.アンディ-party style-!」
どよめきは大きな歓声に変わり、電子音に手拍子が重なると、それに合わせてオーディエンスは手を叩いていた(赤坂のみなさんにパーティーの時間を…とはさすがに言わない)。
ドンドンと田淵の動きも激しくなり、気づけばステージの端っこの方まで来ていた。
手拍子に合わせた鈴木のゆったりとしたドラム音が何とも心地良い。
原曲よりも時間をたっぷり使っている印象だったので、もしかしたらライブオリジナルのアレンジも入っているのかもしれない。
そして、メロディが最高潮に達すると…斎藤がマイクに顔を向けて声を発す。
"君が残像に"
斎藤が煌びやかにギターを鳴らす。
"僕が残像に"
そこからのアンサンブルは、慣れ親しんだメロディなのにどこか新鮮な…まさにパーティーのような雰囲気を醸し出していた(こっちには"よっ!"もないしね)。
おそらく斎藤が曲名を言わなければ気づかなかったと思うが、この「MR.アンディ-party style-」は原曲とは異なる部分も多い。
1番はやはり電子音を全面に押し出したメロディだろうか…合間に挟まれる手拍子をあいまって、原曲以上のテンポの良さが印象的であった。
さすがにユニゾンで客席を煽ったりなんてことはなかったが…自然発生的に生まれたクラップで客席は楽しい雰囲気に満たされた。
自分たちが楽しいように楽しむ。
これがライブのあり方だろうと…何故だか確信的に脳内でそう思ってしまった。
"悩んでないのに朝が来て 悩んでないのに夜が来る"
この曲は5分以上あるが、それを感じさせずにあっという間に時間が過ぎた。
"君が残像に"
手を上げたり、首を振ったり…思い思いの表現をしているオーディエンス。
"僕が残像に"
最後はこの曲だけの電子音と手拍子…だけで終わらず、盛大に3人のアンサンブルで終わりを告げた。
予想外の出来事に興奮気味に拍手や歓声を送る客席…それを尻目にステージは再び暗転していた。
メンバーが水分補給や楽器のチューニングを済ませると、暗がりながらもスタンバイした3人の姿が見えた。
タイミングを合わせるように軽快にドラムを鳴らす鈴木。
斎藤がテンポよくギターを鳴らすと、いよいよライブは終盤戦に突入する。
"アメリカの生活は逞しい 傍若にフレンチをフライする"
まず登場したのは「メカトル時空探検隊」、最新アルバムからの登場になるが、当然まだ僕はしっかり聴ききれていなかったので、何の曲かよくわからないままに体感していた(ちゃんとCITSを聴いていなかった余罪がこの頃はポロポロとありますね)。
ただ、それでも楽しげな様子は伝わってきて、気づけばノリノリで体を動かしていた。
"全人類に愛とチョコレート!"
そういった瞬間に手が上がる観客を見ながら、僕も思わず笑みを浮かべてしまう。
うん、何だか底抜けに楽しいぞ。
"タイムマシンでふらっと行く 君の街までふらっと行く ポンコツでも 無様でも 操縦ができれば OK OK"
歌詞の意味は一聴じゃわからないけど、とにかくこの空間を楽しんだ人間が勝てるんだ…そんな謎の確信だけは得ることができた。
"どうしようか?どうしようか?相談しよう"
最後も軽快なHEY!で終わり、上々の滑り出しを見せる終盤戦。
「オンドラムスタカオスズキ!!」
斎藤のコールとともに、激しくドラムを鳴らす鈴木(ドラムソロは前ツアー準拠)。
その佇まいはいつも惚れ惚れするし、演奏力の高さも再認識させられる。
個人的にはドラムだけの演奏にあまり魅力を感じてはいなかったのだが、鈴木の鳴らす音は見る者を飽きさせないような複雑な演奏が耳を引くし、ドラムの魅力を最大限に発揮しているように思えた。
盛大にドラムを鳴らし終えた鈴木に終わらない拍手が鳴り響く。
それを掻き消すようにドラムを鳴らすと、今度は3人のセッションが始まる。
前ツアーではかっこよさを全面に押し出した演奏だったような気がするが、今回はどうも楽しさが勝っているような気がする。
ギターの音も鋭さよりも柔らかさを感じる。
そんな軽快なメロディが進むと、少しずつ聞き覚えのある音に変わっていく。
そして、斎藤が余韻たっぷりにギターを鳴らすと、鈴木のドラムからライブだけのアレンジで楽曲が始まり、それを味わうように耳を傾ける観客たち。
だが、次の瞬間にそれは怒号のような歓声に変わる。
今回のもうひとつの主役である最新シングル「シュガーソングとビターステップ」がこのツアーだけのセッションとアレンジを携えて登場した(アレンジはプロconツアーと共通だけども)。
さすがにユニゾン史上最大のヒットしたこの曲…歓声は他の曲の比ではなかった。
この曲をどれだけの人が待ち望んでいたのかを改めて再確認した。
"ママレード&シュガーソング ピーナッツ&ビターステップ 甘くて苦くて 目がまわりそうです"
とはいえ、そこはUNISON SQUARE GARDEN…他の曲とまったく温度感を変えずに演奏しきっていた。
"南南西を目指して パーティーを続けよう 世界中を驚かせてしまう夜になる"
"I feel 上々 連鎖になってリフレクト"
多分今ツアー「プログラムcontinued PARTY」のタイトルはこの曲が由来なんだろうと思う。
奇しくも近い時期に発売した曲たちの意味を重ねたときに、それが繋がるのも何とも運命的ではあるのだが、何よりすごいのは絶妙な温度感で繋がりを実現させるユニゾンだろう。
このタイトルだけでグッと10周年イヤーのピースたちが近づいた気がした(熱い自画自賛すいません)。
再び観客が思い思いに体を動かし、そんなのお構いなしでロックバンドが音を鳴らす。
僕らがいつも望んでいる光景。
まさにシングルツアーの主役としての文句なしの働きをしてくれたと思う。
最後はこの「プログラムcontinued」ツアーだけのオリジナルアレンジの後奏で締め、ステージは大歓声に包まれる。
だが、それでもまだまだライブは終わらず、鈴木の力強いドラムで熱量を保ったままにライブは最高潮へと近づいていく。
"Beat or listen or feel quartet. Catch or think or sing,quartet. What I tell you is just "that is it,as you like.""
「kid,I like quartet」が終盤に登場して喜ぶ人はいないであろうか?いや、いないはずがない(唐突な反語)。
みんなが大好きなこのナンバーでツアーは未曾有の盛り上がりを見せていく。
ユニゾンらしいポップらしさを残しつつもどこか軽快さも見せるこの曲は、「シュガーソングとビターステップ」の後という大役をこなし、違和感なくセトリに組み込むことを実現させたようにも思う(イチオシポイントです)。
"オブラートに包んだら 食べられておしまい"
"何だかむず痒いな"
そのなかでも僕らの心に刺さっていくような歌詞も良い感じのアクセントとなり、様々な側面から揺さぶりをかけられているようだった。
ラスサビ前の早口の大立ち回りも、その後の"Can you see?"の盛大な叫びも、どれも終盤にふさわしい盛り上がりを見せていた。
そのパワーは留まることを知らない。
"3.4.5.6.7.8!!"
"東の空から夜な夜なドライブ チクタクチク 揺れる揺れる 東の空から夜な夜なドライブ チクタクチク 揺れる揺れる ハァー!"
ここで「徹頭徹尾夜な夜なドライブ」…記念アルバム「DUGOUT ACCIDENT」のリード曲的存在が登場するのは、何に変えてもアツすぎる。
思えば2013年ごろからライブ限定での披露が続き、「Catcher In The Spy」にも収録されずにかなり長い期間を隠れた名曲として過ごしてきた。
筆者もツアーに一緒にいた友人から「ライブ限定の曲があるらしい…!」と聞いていたが、いざ出会ってみると、あまりの衝撃にうまく言語化ができなかった(これも実話。マジで最初聞いたときはわけわからん!と本気で思ってました)。
それが数年の時を経て、音源化された後にしっかりと聴き込むと、まったく違った印象を抱くから不思議なものである。
"ワタシドコ ココハダレ ダアレ? 狙い済まして記憶喪失"
"ワタシドコ ココハダレ ダアレ? 君の名前を思い出せない"
何度聴いてもまったく意味のわからない歌詞で、ここまでオーディエンスを盛り上げることができるのは…もはや一種の才能であろう(褒めてます)。
ほとんどの観客が周りなど顧みずひたすら曲にノっている様は圧巻なんだけど、どこか快感で…自分がこの場にいるのが何だか誇らしくなった。
間奏でもバチバチに3人が鋭い音を鳴らし、さらに音の世界へとオーディエンスを引き込んでいく。
ステージも客席も境界線がなくなるぐらいに…同じ熱量を共有していた。
"東の空から夜な夜なドライブ"
今度は田淵と鈴木が叫び始める。
"東の空から夜な夜なドライブ"
それに呼応するように観客もヒートアップしていく。
"東の空から夜な夜なドライブ"
斎藤がまったく違う高さの声で曲を彩っていく。
"東の空から夜な夜なドライブ"
今日何度目かの最高潮が始まる。
"Yeah Yeah Yeah Yeah Yeah Yeahーーーー!!!"
そこからはもう語る必要もないだろう。
ぶつかり合った熱量がより大きな力を生み出し、今日という日のライブを最高の思い出にしてくれた。
ありがとう。そのときはただその言葉しか出てこなかった。
"夜な夜なドライブ 夜な夜な!"
腕を力強く振り上げながら、曲の終わりを見届ける。
「最高でした!ラスト!!」
鈴木がドラムを鳴らすと、今度こそ正真正銘の聞き覚えのあるメロディが現れた。
このライブのラストを飾るのは「フルカラープログラム」…さっきまでの熱量が一変して喜びの歓声が湧き起こる。
「DUGOUT ACCIDENT」に収録されながらも、残念ながら「プログラムcontinued」ツアーでは出番がなく、寂しい思いをしたファンも多くいたはずだ。僕もその1人だ。
初めて行ったフェスでユニゾンのライブを聞き、その1曲目が「フルカラープログラム」であり、ライブがあまりにも楽しそうに思えたのがハマりこむキッカケであったと思う。
だからこそ、個人的な思い入れもひとしおだ。
武道館での記念ライブ「fun time 724」では披露されたらしいが、生憎そのライブに参加することはできず、次聞けるのは何年後か…そう悲しい思いを抱いていた(ちなみにリアルではお初から5年ほどかかりました)。
そんな曲をライブのトリで聞くことができるなんて…控えめに言ってもこれは幸せなんだろう。
"涙キラキラ 西の空に光る モノクロでは説明できないキャッチボールを"
"どうせなら この際なら 虹を作ってみよう そしたら誰も文句なんか つけらんないから"
もはやユニゾンの代名詞と言っても差し支えないこの曲…サビを聞くだけで生き抜く勇気が湧いてくるのは、この音楽を愛する者だけの特権だ。
照明煌めくステージに未来の姿を重ねながら、少しだけ明日を迎える力を貰える。
そうなれば、少なくともこの瞬間は無敵だ。
思う存分楽しんでしまおう。
大団円を迎えるための軽快なギターソロに体を揺らし、いよいよ最後の時は目前だ。
"花畑 上の空 白昼夢の存在を 解き明かすまでは眠れません"
瞬間、違う空気を察する。
"そーーーうーーーだぁぁぁーーー!"
"涙 キラキラ 西の空に光る"
"モノクロでは説明できない"
"完全無欠のロックンロールを!"
何とマイクを背けた斎藤のアカペラを挟み、大サビへと突入した。
もはや芸術と言っても過言ではないドラマチックな演出に…思わず泣き出してしまうファンもいた。
後に調べたところ、武道館でもまったく同じ演出が取られていたそうだが、参加できなかった僕にとっては思わぬ僥倖であった(現実は(in the)HOUSEで成就しました)。
どこまでもドラマチックなこのツアー…数年後に思い出しそうなぐらいに鮮烈な記憶として残る気がした(熱い自画自賛すまん)。
"言えなかったバイバイを 優しさでそっと包んで"
"ふざけろ! 「いつか終わる 悲しみは」 どうか忘れないでよ"
いつまで胸に刻まれ続ける大切な言葉で曲を締め、最後は壮大なセッションでライブの幕を閉じる(ちょっとだけ(in the)HOUSEリスペクトな感じで)。
「またね!!」
そんな斎藤の言葉ととに、万感が拍手が客席から送られ、3人が順番に退場していく。
濃密な19曲によるライブ本編はこれで終了となった。
アンコールを望む拍手が鳴り止まず、その思いが通じたかのようにステージに再び明かりが灯る。
その瞬間拍手のテンポが速くなり、ステージに登場する3人を迎え入れるかのようになる。
斎藤がお決まりのスタイルからツアーTシャツに着替えていることが本編との違いを表しており、アンコールが少し力の抜けたものであることを実感する。
拍手が鳴り止まぬままに楽器を携える3人。
本編とは異なるゆったりとしたギター音でアンコールの幕が開く。
バラード調ながらも印象に残るメロディを噛み締めるように聞きながら(当時はアルペジオなんて名前知らないし)、少なくとも自分の脳内のデータベースに引っかかる曲はなかった。
"12時 時計塔の下 新しいワンピースで"
"軽やかに それは軽やかに 走り出す"
"わかんないのは クローバーに込められた願い"
"夢ならば 思い通りになるのにな"
後で調べてわかったが、アンコール1曲目は「クローバー」、ユニゾンのバラードのなかでも特に知名度の高い1曲である。
個人的にバラード自体は好んで聴くことが少なく、この曲もどこか聴き覚えがありつつも、タイトルに思い至ることはなかった。
それでも、改めて原曲を聞き返すと、確かにあのライブの世界観を思い出すことができた(妄想ダケドネ…)。
どうしてこんなに素晴らしい曲を知らなかったんだろう…そう後悔するぐらいには(現実はMMMツアーまで出会わないし気づかない)。
"君がここにいないことで あなたがここにいないことで まわってしまう地球なら 別にいらないんだけどな"
"そっと抜け出したパーティーも 大好きだったあの映画も 未来のパズルへ続いてる"
"「また、会おう」って言った フローリア"
サビの冒頭のフレーズに直接的な表現は何も使われていないが、とれほどの思いが込められているのかは…一聴するだけで感じることができてしまう。
クローバーに込められた思いは何なのか…数回聴いただけではわかりようがないはずだが、それでも幸せの象徴のような植物に確かな希望を垣間見る。
"「また、会おう」って言ったんだ"
"「好きだよ」って言った フローリア"
じんわりと心に広がっていくようなフレーズで締められ、余韻を感じるように静かな拍手に包まれる。
「アンコールありがとうございます」
そう穏やかに告げる斎藤。ここからはMCの時間となる。
アンコールのMCは、
・今日も楽しいライブだった
・新アルバムもカッコいい曲がたくさんある
・2016年もたくさんライブをするつもり
・さっそく7月からアルバムツアーをやる予定なので、めっちゃ楽しみ
「次はそのアルバムから新曲をやろうと思います!」
そう言った瞬間に何度目かの歓声が湧き起こる。
会場中に流れるピアノの伴奏…どこか「harmonized finale」を彷彿とさせるような前奏であったが、切なさ以上に楽しいポップな印象を前面に押し出すようなメロディだった。
6thアルバムである「Dr.Izzy」に収録される1曲ということであるが、「シュガーソングとビターステップ」や「パンデミックサドンデス」ともまた毛色の違うような煌びやかなサウンドがどこまでも心地よい。
"イライラも後悔もまるごとミックスジュース"
「パンデミックサドンデス」と同様に唯一聞き取れた歌詞であるが、このフレーズだけでも少し前に進める勇気を貰えたような気がする。
ラスサビ前で斎藤の歌声にメンバーの声が重なるのも何とも心地が良い。
誰か女性の歌声もコーラスで入っていた気がしたけど…一体誰の声だったんだろう?
※追記
ツアー終了1ヶ月後にMVが投稿された「mixjuiceのいうとおり」が「Dr.Izzy」のリードトラックとして収録されることが発表された。
どうやらこの曲がアンコールで披露された曲らしい。
何とSEである「絵の具」を歌うイズミカワソラがピアノ&コーラスとして参加するとのこと。
道理で聞き馴染みがあるわけだ。
改めてMVを視聴したが、やはりピアノのピュアなメロディとロックバンドの前向きさが合わさって、誰かが勝手に背中を押されていくような…そんな救いのある楽曲に仕上がっているように思った。
ライブを思い出しても、ひとつひとつのフレーズが確かに突き刺さり、また何度でも聞き返したいような気持ちに駆られた。
こんな楽曲がいくつも収録される「Dr.Izzy」は名盤となるだろう…そんな確信を迷うことなく断言することができる(6枚目企画もよろしくお願いしますという唐突な宣伝)。
最後はギターとピアノが主張するアンサンブルで新曲は終わりを迎えた。
「ラスト!」
"1.2.3.4ォォォーーーー!!!!!"
雄叫びのような鈴木のカウントから正真正銘の終幕が始まる。
途端にステージ上を全力で駆け抜ける田淵。
斎藤は激しくギターを鳴らし続けている。
その馴染みある前奏に歓声が鳴り止まず、各々が思い思いの表現で体を動かす。
会場中が半端ではない熱気に包まれていた。
"ワ、ワ、ワ、1、2、3!!!!"
アンコールラストは「場違いハミングバード」、誰もが待ち望んで、誰もが喜ぶ最高のライブナンバーである。
3rdアルバム「Porpulus Porpulus」に収録されているファンにも人気の楽曲であるが、その真骨頂はやはりライブで発揮されると思う。
僕にとってもここまで全てのライブで出会っている唯一のナンバーであり(ホントは桜のあともなんだけど)、一聴するだけで心が躍る大好きな曲だ。
"ああ 僕はまたつまらないことで 君を泣かせたりしてるの 最後の5センチが 思ったように埋まらない"
思わずサビを手を上げて、周りに迷惑がかからない範囲で飛び跳ねてしまう。
ライブの大トリの体力とは思えないほどに体は自然と揺れていた。
それは他の観客も同様で会場の熱気は気づけば多幸感へと変わっていた。
斎藤のギターソロも一段と激しいものとなっており、今日のライブがどれほど楽しんでいたことが伺い知れた。
"場違いなハミングバードでも 帰れるお家があるから 迷わず行くよ 君のところまで"
"今日のところはこれぐらい 外しちゃおうかな"
斎藤の世界一カッコいい舌打ちが決まり、最後は盛大なキメを放つ。
「UNISON SQUARE GARDENでした、バイバイ!!」
そう斎藤が言うと、最高の演奏に答えるように轟音のような拍手が会場中から起こる。
その様子に満足そうな表情を浮かべて去っていく3人。
拍手は客席の照明が点灯するまで続いた。
ライブが終わってからも、余韻は消えることなく、いつまでも多幸感が残り続けた。
それぐらいに最高のライブだった。
どんなに良いライブを経験しても、それ以上もしくはまったく別の角度からハードルを越えてくるのがUNISON SQUARE GARDENの凄まじいところだ。
7月からはさっそくアルバムツアーがはじまる。
おっと、その前に新しいアルバムの「Dr.Izzy」も聴かなくては。
今年もロックバンドに、ライブに、たくさん幸せをもらえそうな1年になりそうだ。
うん、楽しい年になってくれる気しかしないね。
プログラムcontinued PARTY セットリスト
1.シグナルABC
2.プログラムcontinued
3.箱庭ロック・ショー
4.ガリレオのショーケース
5.cody beats
6.誰かが忘れているかもしれない僕らに大事な001のこと
7.23:25
8.ため息 shooting the MOON
9.to the CIDER ROAD
10.オリオンをなぞる
11.未完成デイジー
12.東京シナリオ
13.パンデミックサドンデス
14.MR.アンディ-party style-
15.メカトル時空探検隊
16.ドラムソロ〜セッション〜シュガーソングとビターステップ
17.kid,I like quartet
18.徹頭徹尾夜な夜なドライブ
19.フルカラープログラム
EN1.クローバー
EN2.mixjuiceのいうとおり
EN3.場違いハミングバード
以上が今回のセットリスト解説になります。
色々とポイントはありますが、主な説明はライブレポにそれとなく入れることができたと思いますので、ぜひ読み解いていただけると嬉しいです。
意外と考案者が思い至らないような要素も生まれていたりするので、ぜひまっさらな状態で読み解くというのもしていただくのも良いと思います。
久しぶりに人様の企画に参加しましたが、やっぱりこうやってみんなで何かを作っていくのは楽しいですね。
また僕もやりたくなってきてしまった。
こんな楽しい企画を立案していただいたハグルマルマさんに改めて感謝を述べながら、今回の記事は終わらせていただこうと思います。
それでは…
バイバイ!!