ナツノヒ

UNISON SQUARE GARDENについて色々触れちゃうブログです。語彙がないから複合技でお送りしております。

【CIDER R(EL)OAD】"ワルツ"が見せた魔法【シャンデリア・ワルツ】【DUGOUT ARCHIVIST】

f:id:summerd:20250119225742j:image

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

心に抱えた宝石を守っていた。

 

誰にも傷つけられないように、自分でさえも傷つけないように。

 

脇目もふらず雪の中を走り続けた。

 

大切なものを失くしてしまいそうだったから。

 

行き着いた湖で少しだけ休息を取った。

 

体力が一滴も残っていない体を癒すため。

 

 

 

疲弊した体を引きずって、湖を抜けた先に見つけたのは、小さな洋館だった。

 

開かれた扉に吸い寄せられるように足を踏み入れると、小さな建物には似つかわしくない立派なボールルームへと導かれた。

 

一際に目を引くのが、天井に飾られた煌びやかなシャンデリア。

 

決して広いわけではないが、よく整備されていることが素人目でもわかった。

 

ボールルームの近くには観客席もある。

 

湖で少し休んだくらいじゃ回復しきれなかった体にはありがたい…そう思って、できるだけ体を丸めて観客席の椅子に座る。

 

客席は満員御礼…とまではいかないが、一人ひとりが余裕を持って場所を取れるくらいのスペースがあったのが助かった。

 

このまま眠りについてしまうと、大事に守ってきた宝石が奪われかねないので、雪で悴んだ体を温めることに終始する。

 

やがて、盛大な拍手とともに、ダンサーたちがステージに上がる。

 

だが、違和感があった。

 

パートナーが誰もいないのだ。

 

このような社交ダンスでは、普通はパートナーと2人1組で踊ることが当たり前であるはずだ。

 

それなのに、ダンサーがエスコートしているはずの手の先には人の影さえ見当たらなかった。

 

まるでお伽話の「裸の王様」みたいに。

 

もしくはパントマイムのパフォーマンスみたいに。

 

誰かの空想話みたいに現実味のない瞬間だった。

 

けれども、周りの観客からは疑問の声は湧いてこない。

 

むしろ拍手は大きくなるばかりで、会場の熱気はどんどん高まっていた。

 

周りの観客の話し声から、これから始まるダンスは「ワルツ」であるらしいことだけは何とか理解できた。

 

そうして、流れてきた音楽に合わせて、孤独なワルツが始まった。

 

まるでパートナーと息を合わせるように踊るダンサーは何だか滑稽に思えた。

 

彼らは一体何をしてるんだろう…?

 

そんな疑問符が頭から離れない。

 

何だか目も離せなくなってきた。

 

心地よい音楽も彼らの踊りに絶妙にマッチしていて、耳からも離れなくなってきた。

 

そして、どこまでも没入していくパフォーマンスに肌がヒリつくように逆立った。

 

そこには、いるはずのないパートナーが存在するかのように見えていた…なんて荒唐無稽なことは別になかったけれど。

 

特異なスタイルで、誰と目を合わせることなく踊り続けたダンサーたちに、最後まで心を奪われてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

僕もあんな風に踊れるだろうか?

 

孤独なのに、特異なのに、荒唐無稽なのに、どこまでも眩しかった。

 

気がつけば、大事に守っていた宝石は、装飾がほとんどないシャンデリアに変わっていた。

 

まるでハリネズミみたいに先端が尖っているのが気になったけれど、シャンデリアには違いない。

 

ワルツに造詣は深くないので、精一杯あのとき流れていたBGMを脳内で鳴らす。

 

見様見真似のステップが歪な姿を生み出したけど、そんなのお構いなしに思うがままに踊り続ける。

 

パートナーはやっぱりいない。

 

けれども、誰かが手を引いてくれる感覚だけは確かに残っている。

 

それに合わせて、僕の体もステップを踏み続ける。

 

それを照らし続けるシャンデリアの煌びやかな輝きは、まるで癒しの光のようだった。

 

理由も仕組みもわからないけれど。

 

この道中で傷ついて刺さった棘が少しずつ一体となるような…そうして、痛みを感じた部分が消えてしまったような気がした。

 

そして、シャンデリアの光が強まれば強まるほど、目の前で輪郭を帯びていく影。

 

「君は誰?」

 

僕からの問いかけに答えることは一切なかった。

 

ただ、握った手の感覚は強まっていくし、踊れば踊るほどに存在感は高まっていく。

 

手を離してしまったら、この場からいなくなってしまうのでは…?

 

そんな不安も同じくらいに感じていた。

 

離してなるものか。

 

せめて、この胸に湧く感情が何なのかを知るまでは消えてもらっては困る。

 

ダンスは激しさを増し、気づけば傷ついた体は癒やされていた。

 

どれだけ休んでも、治ることのなかった傷が。

 

大切な宝石も、悲しい雪道も、心地よい湖も、全てが過去の記憶となって、フィルムに刻まれていた。

 

いつしか、それらが僕の進むべき道を示してくれていた。

 

"まだ行けるはずだろ?"

 

そう、人影がつぶやいたような気がした。

 

見えなかったはずのものが視界に入り、存在しなかったビジョンが人生を照らしてくれる。

 

宝石はシャンデリアになり、脳内で鳴り続けた警鐘は華やかなオーケストラへと変わり、僕の人生をいつの間にか彩っていた。

 

そうして、人影がついにその正体を表す。

 

それはよく見知った姿をしていて…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ああ、(君)(あなた)(お前)(あんた)だったのか…」※

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3つ数えたら…ワルツの始まりです。

 

さあ、人生というボールルームで今日も踊ろうか!!

 

 

 

 

 

 

 

 

※好きな二人称と存在をお入れください

 

 

 

 

 

 

 

 

 

テーマ:シャンデリア・ワルツが“ワルツ”でなければならなかった理由

 

ワルツとは…

 

・3拍子のリズム(1小節が「1・2・3」とカウントされる)

 

・ 「ワルツ」という名称は、ドイツ語の「waltzen(回る)」に由来

 

・社交ダンスの入門種目としても教えられており、初心者から上級者まで楽しむことができる

 

・ペアダンスの原点だが、上達には時間がかかり、簡単そうで奥が深い

 

・喜び、悲しみ、愛情など、幅広い感情を表現することができる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

行き着いた先に"何もなくても"。

 

行き着いた先が"やり直しでも"。

 

世界はいつでも息をしてるし、いつでも始まってる。

 

自分じゃ気づかなくても、知るはずもない、関係もない誰かから教えてもらうことがある。

 

やってることは同じなのに…不思議だよね。

 

今回はそんなお話。

 

ほら、気づけばまた輝いてきた。