ナツノヒ

UNISON SQUARE GARDENについて色々触れちゃうブログです。語彙がないから複合技でお送りしております。

TOUR 2020 Patrick Vegee ライブレポ (妄想)

2020年11月19日、僕は大阪にあるフェスティバルホールに足を踏み入れていた。(ここだけは事実なんだよなぁ)

 

今日は大好きなロックバンド、UNISON SQUARE GARDENのライブが開催される。(実際にやったから嘘じゃない)

 

夏に(何もなければ)発売されたNewアルバム「Patrick Vegee」…そのツアーが始まり、いよいよ待ちに待った大阪での初ライブとなる。

 

日程は今日と明日の2days。(オンザシート基準)

運良く両日のチケットを入手できた僕は、まずは初日のライブに向けて、胸を高鳴らせていた。

 

開催されるフェスティバルホールも、自分が行ったなかでは1番好きなホール会場だったので、その分期待値も跳ね上がっていた。

 

もうすっかり顔馴染みとなった面々との挨拶も済ませ、入場の列に並んで紙のチケットを用意する。(電子もいいけど、紙もいいよね)

 

ホールの良いところは席が決まっていることなので、変に焦らすに入場できるのは嬉しい。

 

席は2階だったけれど、見通しは悪くない。

 

開演時間まではまだ少し余裕があるが、この待ち時間は何だかいつもソワソワしてしまう。

 

それぐらいに楽しみなイベントであり、自分にとって音楽がどれぐらいの支えになっているのかを再認識する瞬間でもある。

 

そして、何といっても今回はアルバムツアーだ。

 

傾向から最初の曲はある程度予想できるかもしれないが、アルバムの既成概念をぶっ壊してしまうようなセットリストを組むのが彼らの流儀なので、どうせ今日もまた散々に揺さぶられることを覚悟してしまう。

 

そんなことを思っているうちに開演時間となり、会場の照明が消えて暗転する。

 

流れてくるのはお馴染みのSE「絵の具」、この曲が流れるだけで自然とワクワクが抑えられなくなってしまう。

 

鈴木、田淵、斎藤の順番でステージに現れ、そのたびに拍手と歓声が巻き起こる。

 

あまり名前を呼んだりってことは推奨してはいないけれど、こうやって思いを叫びたくなる気持ちは少しだけわかってしまう。

 

そうして、各々が楽器を手に取り、演奏の準備を始めていく。

 

何となく1曲目の予想はついていたので、ベースを持つ田淵に注目をしていたが(I need Hatch!)、そんな安易な考えはプツッと切れたSEとともに一刀両断されることとなる。

 

始まったのは切れ味抜群な斎藤宏介のギターソロ(Spring×3を思い出そう)、この時点で自分の考えていた推理は的外れだったことに気づき、一瞬で混乱の渦に巻き込まれてしまった。

 

一体何の曲なんだ…どこかで聴き覚えがあるアレンジだったが、混乱している頭の中ではうまく整理できず、答えがまったくといっていいほど出てこない。

 

その解答が浮かんだのは、ギターのメロディが聴き慣れたものになったときだった。

 

1曲目はまさかの「マスターボリューム」…アルバムツアーの幕開けが初期シングルだなんて誰が予想できただろうか。

 

この選曲の意図は田淵にしかわからないはずだけど、この予想外の出来事に会場は驚きを隠しきれないどよめきに近い歓声が巻き起こっていた。(インザハウス2の製品化いつですか?)

 

余計なものを極限まで削ぎ落とした演奏はいつ見ても心奪われるし、久々の披露ということもあって、観客のボルテージも初っ端から上がりきっていた。

 

僕自身もユニゾン1番好きな曲であり、ライブで聞けたのも約7年ぶりということもあって、まさかの再会に思わず悲鳴に近い声をあげてしまった。

 

生のライブで聞きたくて聞きたくてたまらなかった曲が、予想もしない場所で予想もしないかたちで披露される…これだけで今日のライブがただではすまないことを予感させた。(インザハウス2のライブレポよりパク…引用)

 

雷のように鋭いサウンドは文字通り一瞬で過ぎ去り、揺さぶりに揺さぶった幕開けはその熱量を保ったままにライブを次のステージに繋いでいく。

 

斎藤の静かな「ようこそ」とともに鳴ったのは、今度こそ田淵のベースの歪なメロディ…アルバムの先陣を切る「Hatch I need」がいよいよ登場する。

 

不穏な"I need Hatch!"の三重唱からの入りは、ゾクゾクと脳髄を痺れさせるように、新世界のライブへと導いてくれる。

 

斎藤の妖艶な歌いぶりに確かな色気を感じながら、"判断待って 待って!"のサビでは自然と僕を含めてオーディエンスの体は揺れていた。

 

短い曲ながらも圧倒的な衝撃で会場にいる全員の心を跳ね上げていき、後奏の"I need Hatch!"で曲は幕引きとなった。

 

ただ、UNISON SQUARE GARDENというバンドがそれだけで終わるわけがなくて…

 

"マーメイドの嘘が 本当になってしまう前に 夜を駆けなくちゃ 真実は泡になる 虚しすぎる なんてスキャンダラス"

 

3曲目は「マーメイドスキャンダラス」、アルバムで恒例の枚数繋ぎ…それが今回かなりトリッキーなかたちで実現されており、そんな繋ぎをライブというぼくらにとって最高の場で再現してくれた。

 

それだけで鳴り止まない歓声が湧き起こり、この瞬間を待ち望んでいた人がどれだけいたのかも推し量ることができた。

 

曲自体もツアーを通してさらに洗練されているのことが伺え、マイナーキーと人魚の儚さが混在した悲しげなメロディが、どの曲とも異なるカッコよさを演出していた。

 

ここまでの3曲は全てロックさに振り切った曲であり、僕個人としても好みの曲ばかりだったので、この時点でテンションは最高潮になってしまった。

 

そんな熱量を絶やさないためなのか、鈴木の"1.2.3.4!"の雄叫びとともに、聞き馴染みのあるメロディが会場に響きわたる。

 

「場違いハミングバード」が序盤の目玉として披露されるだけで大正解なのだが、それがこの意表を突かれまくるライブで登場するだけで安心感が芽生える。

 

このセットリストの魔法がUNISON SQUARE GARDENのライブが最高たる由縁なんだろうと何度でも再確認してしまう。

 

15thライブやB面ツアーなどを挟んだためこの時間軸のftH8ではやってなさそう)、すっかりご無沙汰となってしまったが、それを微塵も感じさせない演奏スキルはさすがの一言だった。

 

鈴木の華麗なスティック捌きも、田淵の序盤であることを忘れさせる縦横無尽な動きも、斎藤の激しいギターソロも、15周年を経て全てがひと周りパワーアップしているようだった。(オンザシートもそんな感じだったよね)

 

そんなエネルギッシュなパフォーマンスも秒速で過ぎ去り、「UNISON SQUARE GARDENです!」の一言とともに、ステージは一瞬暗転をする。

 

こりゃ今夜のライブもただでは帰れない…そんな覚悟をしたのはここだけの話。(いつもそうなので、妄想でもここだけは紛うことなき事実)

 

「Patrick Vegeeツアーへようこそ」

 

暗転のなかで斎藤の声が聞こえきた。すると、会場に再び照明の光が灯される。

 

「えー久々のアルバムツアーになります。めちゃくちゃ良い曲をたくさん持ってきたので、最後まで楽しんでいってください。よろしく!」

 

そんな短いながらも慣れ親しんだMCが終わると、ユニゾンではなかなかお目にかかれない田淵の"1.2、1.2.3!"のカウントとともに懐かしいベース音が響き、そのまま3人の音が交わっていく。

 

"やくそくは1時間だけ だけどそんなにうまくはいかないでしょ ちょっと!かたづけないでよ まだ大事なボス戦なんです"

 

幼少期を思い起こさせるような歌詞の「チャイルドフッド・スーパーノヴァ」が披露されるのも何年ぶりだろうか。

 

確か最後にセトリ入りしたのは、2015年ツアーの「プログラムcontinued」だったはず。実に5年ぶりの登場だった。

 

そうでなくとも、2ndアルバム「JET CO.」はライブでの頻度が控えめの少々不遇な作品でもある。(2020年現在は…2021年で大化けするんだよなぁ)

 

それがこんなに序盤で登場することに喜びが隠せなかったし、「Patrick Vegee」のキャッチコピーである"グチャッとしている"を体現するような構成に胸が震えた。

 

可能な限り3人の音で構成されているアルバムツアーに加わる、斎藤のホイッスルの音も最高のアクセントになっていた。

 

ポップな雰囲気のままに曲が終わると、それをぶった斬ってしまうような雄叫びとともに、鋭いギターサウンドが観客の心もズタズタに切り刻んでいった。

 

まさかこのツアーでこの曲に出会うなんて…「セレナーデが止まらない」がツアーでは実に7年ぶりの披露となった。(妄想でセレナーデ出すの好きすぎる説)

 

収録アルバム「CIDER ROAD」ツアー以来の登場に古くからのファンは恍惚の表情を浮かべていたし、新しいファンは予想外の出会いに戸惑いと喜びが入り混じった表情をしていた。(現実ではこの2年で複数回セトリ入りするなんて信じられます?)

 

パフォーマンスも待ち望まれていた分だけ力強いものになっており、ここだけでも何回も聞きたくなるような唯一無二のカッコ良さで漲っていた。

 

後奏では3人の音が合わさった盛大なキメをかまし、ここで一旦ライブの流れは途切れたが、すぐさま次の曲の前奏が聞こえてきた。

 

どこか寂しさを感じながらも、そこはかとない美しさも併せ持つようなメロディは今現在この曲だけが持つ特性だと思う。(そしてきっとこれからも)

 

「夏影テールライト」がここまでの激しいライブが嘘みたいに、ステージ上に一筋の静けさをもたらし、観客はそれを染み入るように感じ続ける様子があちらこちらで見受けられた。

 

前代未聞のコーラスによる音色の構築も原曲と遜色ない仕上がりとなっており、MVのような儚い世界観がまるでこの場に現れているかのようだった。

 

"幻に消えたなら ジョークってことにしといて"

 

次曲の伏線でもあるこのフレーズを耳にした瞬間に自然とこちらも心の準備が整った。

 

満を持して聞こえてきたのは…斎藤のロングトーン響きわたる予想外の曲だった。

 

"気味悪がりだしたらキリナシ 点と線は定義定規 手を握って感じられるものが全て 忘れたの?"

 

始まったのは「ラブソングは突然に〜What is the name of that mystery?〜」…誰もがこのアルバムの特徴であるシングルとの繋ぎが見られると思っていたはずで、同じく「Phantom Joke」が来るものだと信じていた僕の予測とはまったく異なる展開を見せていた。

 

アルバムとライブでは楽曲の見せる顔が異なるというUNISON SQUARE GARDENの真骨頂ではあるのだが、こんなかたちで遭遇することはきっと誰も予想していなかったことなので、会場はザワめきに近い歓声が沸き起こっていた。

 

しかし、この選曲には一定の意図も感じる。

 

"幻"でも"ジョーク"でもなくなった本物のラブソングが突然現れた様は、まるでゲームのトゥルーエンディングのような大団円を感じさせるものとなっていた。(現実でもこの繋ぎは実現する気がしている)

 

昨年のB面ツアーを通してパワーアップした演奏はよりヒートアップしていき、特にリズム隊の暴れっぷりは他の追随を許さない勢いが凄まじかった。

 

田淵の地鳴りが起こるのではないかと思う激しい揺れも、貴雄の阿修羅のようなドラムテクも、昨年のツアーのENラストを超えるぐらいの熱量を感じさせた。

 

"What is the name of that mystery?"

 

斎藤の流暢な英語の締めで前半を締め括るのかと思いきや、それで終わるほどUNISON SQUARE GARDENは生半可なものではなくて、さらにぼくらの揺さぶりの世界へと誘っていく。

 

そろそろ聞き馴染みも出てきたドラム音から始まったのは「Catch up,latency」、もはやどう伝えていいのかわからない…まさに"グチャッとした"ライブの行き先はどこまで続いていくのだろう。

 

驚嘆なのはそれでもセットリストに違和感なく(そう信じてる)、ひとつのライブとして"いつも通り"を成り立たせていることだろう。

 

序盤を除いて(それすら伏線)アルバムの構成の面影はまったく残っていないが、「Patrick Vegee」のアルバムツアーとしての役割は十二分に果たしている。

 

うまく言葉では言い表せないが、また新しいかたちのライブに出会えた気がした。(どうせ現実もこうなるだろうしね)

 

シングル曲として様々な場面で活躍してきたこの曲は、今ではすっかり前半戦の大トリを務め上げるぐらい成長した楽曲となった。

 

3人が演奏しきった後の爽快感は、おそらくこのツアーだからこそ体験できたものだと思う。

 

そんな"大事件"をしっかり起こしながら、ライブの前半戦は終わり、少しだけMCの時間に入る。

 

MCでは、大阪は15周年の思い出の地であること、フェスティバルホールのインディアンカレーをついつい食べてしまうことなど(確かそんなMC昔してたよね?)、いつも通りの自然体なゆるーい喋りが印象的だった。

 

「そんな感じで肩の力を抜きながらやっているツアーですが、変わらずにカッコ良いライブはやっていきますので、引き続き楽しんでいってください」

 

そんな斎藤の言葉で締め、ライブは後半戦に突入する。

 

静かなギター音から始まったのは、「弥生町ロンリープラネット」…ftH8で初披露されたのこの曲だが(インタビュー参照)、「春が来てぼくら」との芸術的な繋ぎが記憶に新しい。

 

もちろん今回のライブの傾向では、おそらく違う仕掛けが待ち受けているのだろうが、冬の終わりを知らせる曲の性質がどう生かされていくのか楽しみでならなかった。

 

"そして、僕らの春が来る"

 

続け様に流れたのは、聞き慣れたストリングスではなく、貴雄の鳴らす静かなドラム音だった。

 

鮮やかではないけれど、何気なく訪れた春の幕開け…うん、こういう春も悪くないかも。

 

「光のどけき春の日に」が穏やかな春の幕開けを告げているようだった。

 

一際長いこの曲はライブを間延びさせてしまうような要因にもなり得るが、比較的短い曲の多いこのアルバムのツアーだとちょっとした特別感があって、意外と素直に受け入れることができた。

 

何より歌詞の美しさ、春の何気ない日常に触れているようで、自然と穏やかな気持ちにさせてくれた。

 

3人の音だけで作り上げたこの曲は、思った以上に「Patrick Vegee」と相性が良いのかもしれない。

 

そんなゆったりした時間も過ぎ、不穏なギター音ともに披露された「摂食ビジランテ」では、ライブが再び激しいものになっていくことを予兆するような鋭いパフォーマンスを見せていた。

 

"めんどくせぇよ 忌々しい 白状です ちっとも食べられない"

 

そんなどこか力の抜けた歌詞は、投げやりなんだけど、何か大切なものが見え隠れしている…そんな伏線のようなものを感じさせる。

 

マイナー調のテンポが遅めの曲は、斎藤のボーカリストとしての表現力がことさらに目立つような仕組みになっている気がする。

 

とっつきにくいはずなのに、何故か目が離せない…相反する魅力を感じるのは、一筋縄ではいかない斎藤宏介という男の性質を一定表しているのかもしれない。

 

前回のアルバムツアー「MODE MOOD MODE」とは180度異なる尖りに尖った山場の終演は、ロックバンドがロックバンドらしくあるために、最小限に必要なものだけを凝縮していった結果の産物なんだと思う。

 

一瞬の静寂の後に起こる拍手…観客が我が道を行くロックバンドに圧巻された様を表しているが、不思議とこのあとのライブへの期待値はさらに跳ね上がっているようだった。

 

ライブはいよいよ終演へと向かっていく。

 

貴雄の激しいドラムから始まるセッションは、新たな幕開けを告げているような錯覚を起こすぐらいに壮大で、疾走感あふれるサウンドが迫りくる高揚感をより確実に認識させていた。(どこかのNormalなライブみたいに)

 

"悲しくちゃ終われない まだずっと愛していたい"

 

ライブ限定の歌い出しは、「I wanna belive、夜を行く」を彷彿とさせるが、いつ見ても心が震える。

 

新曲ながらに時期の関係で披露する場に恵まれなかった「Phantom Joke」が特別な立ち位置で、満を持してその力を余すことなく発揮していた。(ftH8はまだまだ慣らし運転ということで)

 

バンド史上最も難易度が高いはずの曲は、後半戦でもそのクオリティを落とすことなく、研ぎ澄まされた演奏で会場を魅了していた。

 

"言えそうで良かった 「まだ愛していたい」"

 

愛を唱えるこの曲は、恋とは違うけれど、これからも何かが途絶えずに続いていく希望のようなものを感じた。

 

そんな雰囲気も一転して、ポップなメロディが会場にワクワクした気持ちをもたらし、すでに飛び跳ねながら嬉しさを表現している観客もいた。(実際にいそう)

 

「スロウカーヴは打てない(that made me crazy)」は、ライブの多幸感をまとめてひとつにしてしまったかのように、メンバーも観客もめちゃくちゃに笑顔にしてしまう絶大なパワーを感じさせた。

 

"I must doubt pop music"

 

で思わずみんなで叫んでしまうぐらいに会場の熱量は上がっていたが、誰もがこの場にいることへの幸せを持ち合わせていることに気づくぐらいに最高の空間になっていたと思う。

 

"凸凹道を埋めています つまりレイテンシーを埋めています"

 

もう本来の繋ぎがないことはわかっていたが、それゆえにどんな構成でセットリストが仕上がっているのか…僕の興味はそこに向かっていた。

 

そして、その結果は誰にも予想できなかったと思う。

 

だって、そうじゃないか。

 

ここで「リニアブルーを聴きながら」来るなんて、一体誰が考えつくんだろう。

 

シングルとしては、決して知名度は高くない曲が、最新曲と合わさっても遜色ない魅力を発揮する。

 

これがUNISON SQUARE GARDENのライブの醍醐味だ。

 

どれだけぼくらを揺さぶっても、また明日は違う仕掛けが施されている。

 

いつまで経っても彼らに飽きるときは来ないのかもしれない。

 

約8年を経て演奏される「リニアブルーを聴きながら」は、はじめて聞いたあの頃から何も変わりがなくて、新しい魅力を発見した分さらに好きになってしまった。

 

何より印象的なのは、演奏中の田淵の笑顔だった。

 

音楽を鳴らせることへの嬉しさが溢れる笑顔が純粋で眩しくて、今日がどれだけ尊いものなのかを再認識した。

 

「オンドラムスタカオスズキ!」

 

斎藤の声とともに、待ってましたと言わんばかりに鈴木の全力全開のドラム音が響き渡る。

 

激しいドラムからの静かなスティック音が囁くように流れ、緩急を繰り返した演奏が期待感を演出していた。(音楽知識がないゆえの表現力の限界)

 

途中からは某ツアーを彷彿とさせるように上着を被る…と思いきや、そのまま上着を投げ捨て、手数で翻弄する芸術的な演奏を披露する。

 

"グチャッとした"アルバムツアーで正攻法をかます。これもある意味での揺さぶりなのかもしれない。

 

そこに合わさるように田淵のベースと斎藤のギターが妖艶な雰囲気とともに交わり、それが最高潮に達すると一瞬の沈黙の後に、鈴木が"1.2.3.4!"と軽やかにスティックを鳴らしながら叫ぶ。

 

このライブ最大の山場には、やっぱりリード曲の「世界はファンシー」が相応しい。

 

田淵の謎のダンスに心がウズウズしながら、"グチャッと"してる曲のはずなのに、自然と体を揺らしてしまう高揚感が会場中に駆け巡っていた。

 

表情が綻んで笑顔が止まらなくなってしまう多幸感はとどまることを知らず、間違いなくこの会場で1番ライブを楽しんでいるのは自分であることを宣言できるぐらいの没入体験だった。

 

"My fantastic guitar!"

 

そう高らかに宣言する斎藤のギターに魅了されながら、ラスサビに突入すると、思わず両手をガッツポーズみたいに振り上げてしまう。

 

"A fancy is lonely!"

 

楽しいことは孤独かもしれないけれど、決して寂しくない。今日この場を体験したら、間違いなくそう確信することができた(はず)

 

そこから間髪入れずに流れるのは聞き覚えのある、けど待ち望んでいたメロディだった。(UNICITY LIVE ONLINEを思い出して欲しい)

 

ライブを終幕へと導く「オトノバ中間試験」は、多幸感も高揚感も疾走感も全部グチャグチャにして、言葉にできない感情を駆け巡らせていく。

 

ラスサビ前にもみくちゃになりながら、じゃれ合うように絡む斎藤と田淵の光景も今やすっかり見慣れてしまったが、もはや戸惑いよりも微笑ましさが上回ってしまった。(現実はもっとひどいし)

 

最後はお互い倒れながら演奏を終える姿は、全てを使い果たしてやりきった男たちの姿があった。(ただイチャついてただけだけど)

 

「大阪ありがとうございました!また会いましょう!!」

 

曲の余韻に浸りながら、斎藤が別れの言葉を告げる。

 

「ラスト!」

 

"ごめん 全然聞いてなかった 大好きなメロディが多すぎて"

 

本編ラストを飾ったのは「101回目のプロローグ」、壮大なこの曲はまさに大団円を飾るのに相応しい。(UNICITY LIVE ONLINEを思い出そry)

 

組曲のように様々なメロディが入り組む楽曲は、どこまで"グチャとした"ライブでも、最後には心地のよいものに変えてくれる。

 

ここだけはアルバムと共通した役割を見出していたが、その立ち位置はまったく異なっていた。

 

アルバムは最後まで行き着いたものへのご褒美みたいなものだったが、ライブでは見る者と今日の素晴らしさを分かち合えるような。

 

文字通りの"共犯関係"に有終の美を飾るような、そんないつもとはひと味違う終演を感じさせた。

 

どんなに変化があっても顔色ひとつ変えずに演奏しきる3人の姿に一種の感動も覚えながら、今日の終わりは近づいていた。

 

"魔法が解ける その日まで"

 

名残惜しむように後奏がゆっくりと進んでいき、最後は盛大なキメとともに曲は終わりを迎える。

 

UNISON SQUARE GARDENでした!またね!!」

 

そうして、ライブ本編は終わり、3人が退場していく。

 

もちろんこれだけで終わらない。ぼくらのほんの少しだけおまけを待ち望む拍手が鳴り止まない。

 

そんな気持ちが通じたように、ステージの明かりが灯り、歓声を浴びながら3人が入場する。

 

再び楽器を手に取ると、鈴木のドラム音から「Simple Simple Anecdote」でアンコールの幕が開いた。

 

アルバムでもおまけの立ち位置ではあるが、大切なことをたくさん教えてくれるこの曲は、きっとここまで待ち望んでいた人も多かったと思う。

 

"全部嫌になったなんて 簡単に言うなよ 全部が何かってことに気づいてないだけ"

 

"誰にもわかんないことを解き明かしても 誰にもわかんないまんまでいいのかも"

 

このフレーズを生で聞けたことは、それだけで人生の支えになっていくと思う。(ちょっと書いてて悲しくなってきた)

 

「アンコールありがとうございます!」

 

そんな斎藤の言葉で、今日最後のMCに入る。

 

大阪でいつも楽しくライブができていることへの感謝だったり、おいしい食べ物がたくさんあって嬉しいことだったり、とにかく大阪を褒めてくれてることが印象的だった。

 

「ただやっぱり大阪はMCで喋るときに人一倍気を使いますね。前日に何喋ろうかな〜ってめっちゃ考えます。笑」

 

そんな謎のプレッシャーに苦しむ斎藤に少しだけ笑ってしまったけれど、何にでも全力で取り組む斎藤の姿に少しだけ尊敬してしまったのはここだけの話。(何故かリアルでも神経すり減らしながらトークしてるのはガチで笑ってしまう)

 

「また今後も大阪でライブはしていこうと思っているので、楽しみにしていてください!ではUNISON SQUARE GARDENでした!!」

 

そう言い終わるか終わらないかのうちに、鈴木のドラム音が鳴り、曲に感付き始めた観客が喜びの歓声をあげる。

 

"Drink up? Turn up! MIDNIGHT JUNGLE!"

 

最後の晩餐と言わんばかりのゴリゴリのロックサウンドが響き、悔いを残さないように観客がはしゃぎ回り、大きな声をあげる。(もったいない!だけはどうしても叫びたくなる)

 

"各自 夜と遊べ"

 

ギュンギュンと鳴らすギターとともに、そう告げる斎藤の歌声は、ライブの余韻へと繋げるには十二分な出来事となった。

 

そんなテンションが最高潮になった瞬間の「ラスト!」のイントロで、観客の歓声は一層激しいものとなった。

 

多分「オリオンをなぞる」がこの場面で登場することは本当に稀だと思う。(いつか実現して欲しい)

 

ツアーではすっかり出番が少なくなっていたこの曲が満を持して登場することは、それだけで観客の心を掴かみとり、新旧入り乱れて様々な喜びの表情を見せていた。

 

何よりこの曲は、演奏している3人の安心感溢れる表情や動きが印象的で、バンドにとっても大切な曲になっていることが伺えた。

 

最後はどこか「プログラム15th」を彷彿とさせるような後奏を終え、ついにアンコールも終演した。

 

「バイバイ!」

 

別れを惜しむような歓声のなかで、3人は退場し、「Patrick Vegee」のライブは終わりを迎えた。

 

久しぶりの全国ツアー、しかもアルバムを引っ提げてのライブということで、どんなに揺さぶられるのかを楽しみに今日を迎えた。(迎えたかった)

 

実際は予想以上の高揚感と多幸感が溢れており、やっぱりUNISON SQUARE GARDENは僕に生きる力を与えてくれる。(ここも事実になると思います)

 

明日はどんなライブになるんだろう。今から楽しみならない。

 

Patrick Vegee セットリスト(妄想)

 

1.マスターボリューム

2.Hatch I need

3.マーメイドスキャンダラス

4.場違いハミングバード


5.チャイルドフッド・スーパーノヴァ

6.セレナーデが止まらない

7.夏影テールライト

8.ラブソングは突然に〜What is the name of that mystery?〜

9.Catch up,latency


10.弥生町ロンリープラネット

11.光のどけき春の日に

12.摂食ビジランテ


13.セッション〜Phantom Joke

14.スロウカーヴは打てない(that made me crazy)

15.リニアブルーを聴きながら

16.ドラムソロ〜世界はファンシー

17.オトノバ中間試験

18.101回目のプロローグ


EN1.Simple Simple Anecdote

EN2.MIDNIGHT JUNGLE

EN3.オリオンをなぞる

 

 

 

 

 

 

以上、誕生日に妄想ブログを垂れ流すという三十路男の暴挙でした。

 

ftA3には行けなかったし、当分ライブもないし、ならせめて「Patrick Vegee」ツアーに向けた何かをやりたいな〜ということで、もしも予定通りにアルバムが発売されたらという仮定の元でセットリストとライブレポを考えてみました。

 

まあとはいえ、一応現実に即したセットリストにはしてるんですよ?これまでのインタビューとか照らし合わせながら。

 

・8thアルバムツアーの1曲目は「マスターボリューム」が良いと思っていた。

 

・「弥生町ロンリープラネット」→「春が来てぼくら」の繋ぎは、ftH8で披露するつもりだった。

 

・同期音を使う機器は持っていかず、「春が来てぼくら」や「シュガーソングとビターステップ」をやるつもりはなかった。

 

・アルバムのシングル繋ぎは、今度のツアーではやらないかもしれない。(アルバムとセットリストの構成は別…らしい)

 

そこらへんの情報を加味しながら、最近のライブの演出も取り入れつつ、妄想セットリストを再現してみました。

 

少しはイメージできたでしょうか?

 

まあこうな過去があったらいいな〜ってぐらいのものなので、せっかくならそれが分かち合えていれば嬉しいですね。

 

あ、そういえば久しぶりの更新ですね!(遅い)

 

ちょっと思うところがあってブログは停滞していたのですが、音楽文が終了したこともあって(本当に残念)、今後はもう少し頻度を増やしていければと思っています。

 

…何かネタがあれば創作意欲も湧きそうなので、良いものあればご提供よろしくお願いします。

 

では、今日はここまで。バイバイ!