お久しぶりのライブレポです。
しばらく書くのを控えていたライブレポ…単純に記憶を探りながら書くのが労力使うっていうのはあるんだけど、ここ最近は日常の疲労感が勝ってしまうこと多くて、なかなか文字を打つ作業まで行き着くことが難しくなってしまったことが1番の理由です。
音楽文では表現したいこと、ブログではそこで入らなかったことを超ゆるく書いていくみたいな温度感でやってきたので、そこの弊害が出ちゃった感じは大いにありそう。
とはいえ音楽文のサービスが終了してしまった以上、現状は書ける場所というのはブログしかないので、こうやって書きたいものがあればまた記事はUPしていきたいなとは思っております。
とか言いながら、過去にこんな記事を出しているのはここだけの秘密にして欲しい。
ちなみに音楽文は3月末で掲載を終了してしまうそうなので、何かしらの方法で残さないかを検討してます。まあこれは色々と問い合わせてから動いていこうかなと思っています。
(ここまで2021年の11月に書いています。どんだけ寝かせてたの…)
…少々話は逸れましたが、今回は先日参加したツアー「Patrick Vegee」のライブレポを投稿しました。
"食べられないなら 残しなよ"
そんな触れ込みで世に放たれた8thアルバム「Patrick Vegee」が発売されたのはもう1年以上前のこと、世の中の様々な制約に縛られながらもようやく実現したのが今回のツアーです。
"食べられなくても 食べに行く"
ロックバンドは街にやって来ることをこう表現するのは何ともUNISON SQUARE GARDENらしいんだけど、こんな今までだと当たり前なことも嬉しく感じるのは、それだけ自分が今回のツアーを待ち望んでいたことを再認識させられます。
僕が参戦したのは11/26.27に行われたオリックス劇場でのライブ、そして1/10の神戸国際会館、1/11のロームシアター京都で行われたライブの全部4公演。
どれも甲乙つけがたい良いライブでしたので、せっかくなら複合的な視点で見た内容にしていきたいと思います。
※お詫び
本来でしたら2022年初期には投稿するはずだった本記事ですが、寝かしに寝かしこんだ結果、何と上半期が終わってしまいました。あら不思議。
さすがにライブDVDが発売するまでには投稿しなきゃマズい…!と急ピッチで書きましたが、書いた時期が違う故に文の熱量に齟齬があるかもしれません。あらかじめご了承ください。
ではでは、始まり始まり〜
〜開演前〜
実はオリックス劇場に関しては、1番足を運んでいるホール会場ではあるんだけど、相性は死ぬほど悪くて。
過去に3階席ばかりに通されたり、最後の最後までチケットが当たらずにお譲りに頼ったりと…正直あまり良い思い出はないのだけども。
今回はフォロワーの連番したおかげだったり、世の中的な背景だったりで、割と良い席を用意してもらえた気がします。
特に1日目は2階席とはいえ、なかなかに視界良好なところで見れたので、連番相手の積んだ徳に感謝をしたものです。
ちなみにその方は2日目にとんでもない席をご用意されました。俺も景色だけ見させてもらったんだけど、めちゃくちゃに最高でした(語彙力)。
前世で一体どんな善行を行ってきたんでしょうか。シンプルに羨ましい。(その後私もXIIXのライブでしっかり積んでたことが発覚しました。テンキュー、斎藤宏介)
ちなみに神戸は一般で取ったからボチボチだったけど、最速で取った京都は4列目でした。ただし、仕事でヘトヘトで疲れ切った状態での参加でコンディション最悪だったけどな!
だいぶと制限も緩くなってきたみたいで、お客さんの入りも上々、少しだけいつもの風景が戻ってきたことに嬉しくもなったり。
そんなこんなで開演前のアナウンスが始まり、担当するのは関西民にとってはビオラさん並みの知名度となったキョードー大阪のタチバナさん。
素敵な声をお持ちのこの方は、いつも優しい声で開演中の注意事項などを教えてくれるんですが、"滑舌"という全ての人間を悩ませる部分においてもありのままをさらけ出してくれる親しみやすさも兼ね備えています。
今回のツアーでも1番の肝である「Patrick Vegee」を盛大に噛み倒してしまうという見せ場を作ってくれました。
これがまさかこの2daysで1番の伏線回収になるとは(俺調べ)、誰も予想してなかったのである…(後半へ続く)
そんなプチハプニングもありつつ、いよいよ暗転とともにライブが始まりました。
SE.絵の具
今年何度も聴いたはずの「絵の具」、何遍聴いてもライブへの期待感を引き上げてくれるのだが、やはり久しぶりの全国ツアーだけあって感慨も普段以上に深くなってしまう。
メンバーがステージに現れた際の拍手もいつも以上に大きかったような気がする。それも今ツアーに対する期待感の表れのように思えてしまう。
メンバーが登場するのもいつも調子であったが、ひとつだけ変化を挙げるとすれば貴雄の衣装が変わっていたこと。
いつものロングコートからパーカースタイルに変わっており、何となくアルバムのコンセプトに近い放牧を印象づけるような雰囲気に様変わりにしていた。
もちろん本人の持つファッション性は最大限に生かされていたけれど、そこに動きやすさも付加されているようで、より理想的な格好に進化しているようにも感じられた。
そんな変化も楽しみつつ、ステージ上に並び立つ3人。
この瞬間がやっぱり1番緊張する。張り詰めた雰囲気のなかで披露される1曲目はライブの方向性を左右するものになり得るし、何より観客を大きく揺さぶるポイントでもあるので、心臓は早鐘のように鳴っている。
そんな緊張と静寂の時間を経て、最初に奏でられたのは…
1.Simple Simple Anecdote
"全部嫌になったなんて簡単に言うなよ 全部が何かってことに気づいてないだけ 信号は変わる 星はまた生まれるから 今日は何とかなるぜモードでいいや"
うへー当たっちゃったよ。
これが紛うことなき最初に心内に生まれた言葉でした。
長いことセトリ予想みたいなこともやっていますが、ツアーの1曲目なんてそう簡単に予想できるもんじゃありません。
唯一の例外はアルバムの1曲目がそのまま採用されることですが、今回は昨年末のカウントダウン配信ライブでそれが披露されていることもあり、その可能性は限りなく低いこともわかっていました。
普段のユニゾンであれば、アルバム1曲目以外で初手に来るのは最後に収録されている曲が来ることがほとんどでした(Catcher In The Spyツアー、プログラムContnueidツアー参照)
ですが、"何かグチャっとしてんだよな"なんてキャッチコピーのアルバムツアーが普段通りにいくはずない。
そんな直感に近い予想から捻り出したのが、アルバムのおまけ的立ち位置の「Simple Simple Anecdote」でした。
もともとアルバム10〜11曲目の曲は、アンコール序盤で披露される傾向が高いんですが、裏を返せば本編頭でも違和感なく登場できるということなので。
僕らの逆をついて揺さぶりをかけてくる可能性を予想し、あえて1曲目に持ってきました。
ただ、この予想も自分なりのグチャッとしたセトリを作ろうとした結果生み出したものなので、半ば投げやりな気持ちで公開したのが本音でして。
それがまさかの的中…ずっとセトリを予想してきて1番嬉しい瞬間だったかもしれません。
まだまだ言語化はできていませんが、少しだけ田淵のセットリスト哲学に触れることができた…勝手にそんな気がしております。
ちなみに予想はこんな感じでした。
そんな自分的には大事件を抜きにしても、この曲が1曲目に来るライブというのは、それだけで心にグッとくるものがたくさんあって。
プログラムContinuedツアーの「さわれない歌」よろしくの歌い出しからのアレンジも、まるでフルコースの前菜みたいにこれからのライブに向けての期待感も引き上げてくれます。
最近のライブでは、ボリュームある始まり方が多かった故に、こういうシンプルで優しい始まり方も新鮮でじわじわと気持ちが高まっていく状況が何とも心地良かったです。
あとは原曲よりも気持ちテンポがゆっくり目な気がしたので、逆にテンポが速くなっていたLIVE (on the)SEATの「クローバー」との対比が個人的には少し面白かったり。
そんなこのアルバムらしい始まりを経て、斎藤さんの「ようこそ!」とともに、ライブは次のステージへと移っていきます。
2.Hatch I need
田淵の奏でる歪なベース音から始まるのは、アルバム幕開けの曲でもある「Hatch I need」でした。
アルバム1曲目は割と序盤で演奏される傾向が高いのですが、ここは外すことなく定番のかたちで披露されました。
まあ1曲目がだいぶと意表つく感じでもあったので…ここで正統派に戻すのも、揺さぶりまくるUNISON SQUARE GARDENの十八番でもありますね。
ステージでは妖艶にスモーク焚かれており、照明以外で演出を捻らないユニゾンのライブにしては、珍しく凝った魅せ方をしていたように感じます。
ちなみに京都公演では割と前の方だったので、スモークで全然見えなかった3人の様子もバッチリ見ることができました。笑
ですが、そんな演出もまた先の見えない"グチャッとした"ライブの先行きを表しているようで、否が応でも期待値は跳ね上がっていきました。
昨年末のカウントダウンライブでは、どこかまだ歌い慣れていない様子も感じられましたが、ツアーを重ねることで自分たちのものにしたことが伺え、非常に満足感の高い始まり方になっていたように思えます。
正直ここらへんはテンション上がりすぎて記憶が曖昧なんですが。笑
記憶が曖昧なライブは楽しいライブの証明ということで…どうか許していただければと思います。(ライブレポとは)
そして、最後の"I need Hatch!"が終わり、オーディエンスにとってはドキドキの次曲へ繋がりました。
3.マーメイドスキャンダラス
"マーメイドの嘘が本当になってしまう前に 夜を駆けなくちゃ 真実は泡になる 虚しすぎる なんてスキャンダラス"
散々あれだけ前触れしておいて、まさかのアルバム繋ぎが実現してしまいました。…まあこの短い曲続きのなかで違う曲にいってしまうと、違和感も凄まじいので納得ではあるんですが。
田淵がツアーに関して触れたインタビューで、アルバムの肝である曲繋ぎはみんな思っているようにはいかないと思う…みたいな趣旨の発言をしており、セットリストは誰もが予想もしない繋ぎで来ると思っていました。
それが実現してしまい、意表をつかれた人も多かったはず。僕ももちろんそうでした。
とはいえ、この繋ぎはずっと使われてきた"○枚目!"の繋ぎなので、このツアーで使わなければどこで使うの?っていうぐらいにおあつらえ向きなシチュエーションではある。
ファン心理の裏をついた巧妙な仕掛けてはあるんだろうけど、実現するならこの繋ぎだとは思っていたので、不思議と違和感はありませんでした。
あとは個人的に推し曲なので、ひたすらにかっこよかったしか言えないですね。(語彙力)
この曲は斎藤さん色気と歌声とギターを余すことなく享受する曲だと思っているので、4日間で思う存分それを摂取できました。(言い方)
単体でも十二分に映える曲なので、またどこかのライブで披露して欲しいものです。
そんな怒涛の幕開けである序盤は、これだけでは終わらなくて…
数秒の静寂の後に始まったのは、斎藤さんの美しい歌声…ここでまさかの「Invisible Sensation」とは、僕も予想していませんでした。
ここまで怒涛のアルバム3曲攻勢で、どんな曲を入れたら良いのか予想のつかない部分も多分にあったわけだけど、蓋を開けてみればまあ納得の繋がりでした。
序盤のアルバム連投に負けないぐらいの曲もいえば、シングルやアルバムのリード曲ぐらいしか思いつかないわけで。特に前2曲がロックチューンだった以上、逆に振り切ったポップな曲に落ち着くのはある種の必然だったようにも思います。
ちなみに自分も当初のセトリ予想(本当に最初に作ったやつ)では、位置は違えどマーメイドスキャンダラス→Invisible Sensationの繋ぎを入れたりしていたので、その素晴らしさを立証してくれたようで何だか嬉しくなりました。
パフォーマンスも様々なツアーを経て、着実にクオリティも上がっていることが素人目にも感じられ、先ほどまでの新鮮な流れから一転した安心感のなかで楽しむことができました。
あれだけ慣れない曲を歌いまくった後に、盛大に2番の早口かませる斎藤さんはもはや人間じゃねぇ!って思ってたけど。笑
ここまでで「UNISON SQUARE GARDENです!」を挟み、序盤のセクションが終了しました。
5.フライデイノベルス
「パトリッックベジィィィツアーへようこそ」(発言そのまま)
大阪1日目がそんな巻き舌気味の癖の強い斎藤さんのMCが始まったのは、絶対に冒頭タカハシさんが噛んだせいだと思います。
そんなところを拾うのが相変わらずニクいな〜と思いながらも、2日目にタカハシさんが「パトリッックベェジィィィ」とめちゃめちゃ発音良く言ったときは完全スルーしたあたり、一筋縄ではいかねぇ…このギタボって感じでした。そういうとこ大好きだよ(ハート)
MCは最小限にして流れてきたのは、聴き覚えのあるギター音でした。なかなかに既視感ある感じの。
その瞬間自分の至らなさにすごく後悔することになるのですが、5曲目に登場したのは「フライデイノベルス」でした。
「LIVE(in the)HOUSE 2」とまったく同じ位置かつ演出というのは意外でしたが、後述の曲を考えると、最近はあえて同じパターンでセトリを組みというのがトレンドなのかもしれません。
そもそもこの曲には、"うさぎさん達が追い越して"という「Patrick Vegee」のジャケットを飾るうさぎが歌詞に含まれており、まさにこのアルバムのための楽曲といっても過言ではありません。
曲調や流れでしか考えていなかった自分としても、まだまだだな…としか言えないのですが、こういうパッとわからない共通項を組み合わせるのがユニゾンのセットリストの醍醐味です。
それを存分に味わえたような気がして、セットリストの期待値が跳ね上がってきましたね。
曲としても、ツアーのセットリストに入るのは2016年の「fun time HOLIDAY 6」以来ということもあって、待ち望んでいたオーディエンスに万感の思いを持って受け入れられた印象があります。
先ほどまでのセクションとは打って変わっての柔らかな雰囲気での演奏も、ユニゾンらしいライブの深みを表現しているようで素晴らしかったです。
カポ曲という制限もブロックの幕開けということであまり感じさせず、激しいギターサウンドと共に次曲へと移ります。
6.カラクリカルカレ
"どうすんだよ、めちゃくちゃだぞ"
もうその一言に思いが凝縮されている気がしました。
序盤の谷間でまさかまさかの初期アルバム、しかも1曲目の登場。ユニゾンではよくある手法(MMMのデイライ協奏楽団など)とはいえ、いつまで経っても慣れないし、心臓にはあまり良くない。
何よりここに滅多に登場しない曲が出てくるとなると、物好きとしては感動していいんだか、困惑した方がいいんだかでどうしたらいいかわからなくなるんですよね。
とはいえ、冒頭の歌詞にもある通り、"何かグチャッとしてる"アルバムのツアーでセトリ入りする資格は充分あって。
「フライデイノベルス」→「カラクリカルカレ」の繋ぎは、曲調の対比や歌詞の共通項などもあって、演出としては100点満点だったように思います。
演奏も原曲と比べてみると、それはもう洗練されていて。一つひとつの音が凝縮されたトゲみたいになって、僕らの心に刺さっていきました。
個人的には、前回は「ACCIDENT CODE "R"」のアンコールだったので、すぐに演奏だけして帰ってしまい…ロクに曲を感じることができなかったので。
今回のツアーで存分に楽しめたことは僥倖でした。
7.Nihil Pip Viper
「新曲!」
斎藤さんの声とともに始まったのは、「Nihil Pip Viper」…待望の新曲をこんなところで使うなんて、UNISON SQUARE GARDENはホンマにわからへんわ…(唐突な関西弁)
タイトルとは打って変わって楽しげなこの曲は、多分セトリのどこに入れても十二分に輝くんだろうけど、ここはユニゾン十八番のあえてサラッとしたところで登場させるという意表をつく展開となりました。
鮮やかな色の照明がめちゃくちゃに映えていて、それだけでひたすらに楽しい印象しかないのですが。
ラブソング→ロックと続いたところで、超絶に楽しいこの曲というのがジワジワと観客のボルテージを上げていっているようで、まんまとバンドの策略に乗ってしまった…そんな一抹の悔しさも感じながら楽しんでいきました。
まあそんな感情も吹き飛ぶぐらいに最後の方は楽しさしか残っていないのですが、ただただセットリストの魔法に感心してしまいました。悔しいけど。
そして、また一つライブで楽しい曲が誕生してしまいました。
8.Dizzy Trickster
聴き馴染みのあるドラム音から始まり、2セクション目の締めを担当するのは「Dizzy Trickster」…ここまで「MODE MOOD MODE」の曲で締めることが続いていますね。
本来だと前作がここまで出張るのは違和感しかないのですが、発売から1年経過してのツアーであること、そしてリバイバルツアーを挟んだことからそれがまったくなくなっているのが状況の成せる技だなと改めて思います。
ここまで満遍なく曲調を組み込んできた第2セクションですが、最後に爽やかなポップ調のメロディと尖ったロック調の歌詞が合わさった曲が登場するのは、セトリの流れとしてもかなりきれいな1本の芯のようなものが出来上がっていますね。
"ぐちゃぐちゃのまんまの理想でも"
アルバムのキーワードが入った歌詞も登場するという120点満点の展開もさる事ながら、ここまで露骨に温存されていたこの曲だからこそ、序盤の大事な締めを担えたように思います。(2曲目の登場まだ…?」
最後は盛大に3人で音を鳴らし、斎藤さんの控えめな「Thank you…!」とともに、ここで一旦暗転の時間となります。
9.摂食ビジランテ
暗闇のステージにひとすじの赤い照明が照らし出されたとき、鈍いギター音が会場中に響き渡る。
先ほどの華やかな雰囲気が嘘みたいに、鬱屈とした空気が会場中に流れ、観客の動きがピタッと止まったように思えました。
視線は赤い照明に照らされる斎藤宏介に集まっているんですが、それと同じく漏れ出た光に映る田淵と貴雄にも向けられていました。
アルバムの最後のピースである「摂食ビジランテ」は、ライブとしては久々のアルバム曲の登場となりました。
そもそも新曲があるとはいえ、アルバム収録曲がまったく披露されない異質な第2セクション(メッセージ性抜群とはいえ)から、アルバムツアーとしての方向性を取り戻す役目はこの曲にしか担えないのかもしれません。
あえて表には出ない曲ですが、アルバムの繋がりを盤石にする仕事人ぶりや"今日は残します"という作品を連想させるフレーズ…その有能ぶりは黙っていても伝わってしまうというわけです。
中盤というのは箸休め的なポイントになりがちですが、そこですら大人しくする気はない…そんな彼らの信念を感じさせるポイントでもありますよね。
徐々に照明が増えて3人が揃って映る様にも、簡単にはこのライブを理解できない伏線のようなものにも感じられて、黙って見ることなんてできません。
"食べれなくても 食べに行く"
そんなライブの意味を少しだけ感じられた気がしています。
けれど、それはほんの一端でしかなくて…
10.夜が揺れている
いや、聞いてないよ。
この曲が来るなんて誰が予想できるのさ。
2ndアルバム「JET CO.」に収録されたこの曲は、披露されることが少ないこともさる事ながら、2019年の「MODE MOOD MODE ENCORE」ツアーで登場したことからしばらくセトリ入りすることはない…そんな共通認識がありました。
それがまさかのたった数年越しの登場…全ての物好きは度肝を抜かれたはずです。
後々になって思えば、"夏の花火と君が嫌いだよ"が次曲への伏線と取れなくもないですが、あまりにさりげなさすぎて一聴では気づけるはずがありません。
個人的にもMMMEには諸事情で参加できず、この曲を聞けなかったことが死ぬほど悔しかったので、数年経ってそれが成就できてとても嬉しい。
ライブとしては、圧巻なのが貴雄のドラム。音数が半端じゃないのに力強さも兼ね備えて、普段から彼の演奏がユニゾンの屋台骨であることを感じさせてくれる時間となりました。
11.夏影テールライト
ここで今アルバム唯一の特性であるシングル繋ぎの曲が初登場しました。
「LIVE(on the)SEAT」で一度登場しているとはいえ、そこでアルバムの繋ぎを再現している以上、田淵の発言を加味してもライブオリジナルの構成で来るはず…というのは通説でした。
おそらく今ツアーの最も大切な肝となる部分になるため、もちろんその動向にも目が離せませんでした。
ただ、同じぐらい曲も素晴らしくて。
原曲とは少し違うジャジーなアレンジも耳心地が良く、コーラスの美しさはそのままに、新たな魅力を醸し出しているのが印象的でした。
MVにはないオレンジの照明も何だか新鮮で、何だか"30℃を超えた日曜日"を思い出して、また違った夏を見せられているようでした。(壮大な伏線)
"幻に消えたなら ジョークってことにしといて"
「Phantom Joke」を彷彿とされる歌詞から、このグチャッとしたセットリストで紡がれたのは…
12.オーケストラを観にいこう
聴き馴染みのある、そして大好きで壮大な前奏が流れた瞬間にこの曲以外の最適解は考えられなくなりました。
同じ"夏"をテーマにした曲でもあり、そしてどこか儚く"恋心"も散りばめているような「オーケストラを観にいこう」がここで登場する意味は一体どこにあるのでしょうか。
自分の予想では、「夏影テールライト」につながるのは「ラブソングは突然に〜What is the name of that mystery?〜」と考えていたのですが、その理由をトゥルーエンドに進むためだと解釈していました。
この考え方を当てはまると、「夏影テールライト」では後ろから追いかけるだけだった気持ちが少しだけ進展して、「オーケストラを観にいこう」では隣で歩けるようになっている…そんな光景が頭に浮かびました。
想いが叶ったわけじゃないけれど、まだ追いかけられている。
幻で終わらずに、冗談混じりな関係にならなかったことを意味しているように感じました。
まだまだ歯痒いけれど、ほんのちょっとだけ希望を見せられた気がしています。
セトリとしても、明らかに「MODE MOOD MODE」を意識しており、コロナ禍で行う最初の制限やリバイバルなしのライブをよりオーディエンスが参加しやすくなるような工夫が隠されているのかもしれません。
「Phantom Joke」は聞けなかったけど、しばらく見れないと思ってた「オーケストラを観にいこう」の演出が見れるなら悪くないか…。
恒例の照明が全て消える壮大な演出の後に待ち構えていたのは、誰もが予想できない展開でした。
13.Phantom Joke
「オーケストラを観にいこう」の余韻に浸る間も無く、痛烈な前奏が会場全体をぶった斬っていきました。
誰だよ、こんなセットリスト考えた人間。いや、こんなの考えつくのは1人しかいないか。
「Patrick Vegee」最大の特性である曲繋ぎのマジックをあえて使わないと宣言した以上、まったく異なる曲順のセットリストになるものだと考えがちでした。
今ツアーでは、あの高低差ある繋ぎを見ることはなく、この半端ない多幸感で中盤を締めてくれるものだと。
このブロックは落ち着いて聞く時間帯であると決めつけていたし、何より昨今のライブで乱発している「Phantom Joke」はセットリスト入りしない…そんな先入観も頭の中で駆け巡っていました。
だからこそ、想像もしませんでした。
一度逸れたアルバムへの道が、最後の最後で再び戻ってくることを。
そして、当たり前に中盤の壮大な終わりが存在していたUNISON SQUARE GARDENのライブが、こんな激しすぎる展開を迎えることを。
誰しも予想がつかないけれど、誰しも納得できる展開を作り上げる…セットリストの天才の真骨頂でした。
演奏は配信ライブ「LIVE(in the)HOUSE」に比べると、格段に安定感が増しており、この2年間でどれだけこの曲が成長したかが伺い知れた。
そんな鋭く突き刺さる演奏を終え、最後は壮大な大団円。
胸に突き刺さる音がいつまでも消えないような…雷鳴がいつまでも止まないかのように激しい余韻を感じることができた。
14.ドラムソロ〜世界はファンシー
いよいよライブは終盤戦です。
静かなる雰囲気のなかで巻き起こるはライブ恒例のタカオスズキによるドラムソロ。
途中の妖艶なセッションでどの曲と繋がるのかは容易に想像できたけど、あんまりにしっくり来すぎて、全然気になりませんでした。
圧巻なのはセッションの演出でした。
「2!」「3!」「2!」「5!」
と宣言した通りの回数で3人が音を合わせる様は、まさに阿吽の呼吸という表現が相応しく、新たな境地を見せてくれました。
ときには「7!」とかを出して、自分たちの首を絞めていたけれども。
そんな様子も楽しげで、近年で最も楽しいドラムソロでした。
そこから貴雄の「1.2.3.4!」で繋がるのは「世界はファンシー」です。
ここは予想通りでニッコリです。
基本的にラスト付近じゃないリード曲はドラムソロに配置されやすい傾向にあるので、そこが崩れていなくて安心しました。
こちらもライブでは文句なしに盛り上がる曲となっており、どのライブでも安定した仕上がりを見せていました。
ギターもベースも難しいと聞いていますが、それをまったく感じさせないのはさすがです。
何より1番笑っちゃうのは、示し合わせてもいないのに「HAPPY!」でダブルピースしてるところですよ。高確率で周りのオーディエンスはやってました。もちろん僕も。
1番の見どころは斎藤さんの手癖だと思っているので、4公演とも余すことなく見れました。HAPPY✌️😎✌️
15.スロウカーヴは打てない(that made me crazy)
アルバムのなかでも、1.2を争うライブ映えする曲が並んでるこのセトリ、もしかしなくても最高ですか?(後にもっとヤバいのも潜んでる)
近年の「Nomal」ツアーでも、ドラムソロ曲の後に配置されていたこの曲。まさかの直近のツアーとほぼ同じ順番での登場となりました。
というか、「フライデイノベルス」や「オーケストラを観にいこう」も同様の扱いを受けているので、もしかすると田淵も意図的にこのようなかたちにしているのかもしれませんね。
この曲からはホントに記憶が薄くて…(何故なら物好きは軒並みゴリラに変貌するから)
ただただ、ひたすらに暴れている記憶しかありません。(ライブレポとは)
ただ、毎回の楽しみだったのは、間奏時の斎藤さんのギターソロが毎回異なること。
各公演でそれぞれ遊び心があって、聞いてて全然飽きないのが良かったです。
そして、この曲もシングルへの繋ぎとして、
"凸凹溝を埋めています つまりレイテンシーを埋めています"
という歌詞が入り、次曲へと移ります。
普通に考えるとアルバム通りにはいかないものですが…?
16.天国と地獄
裏の裏は表…?
Nomalツアーが「君の瞳に恋してない」への繋ぎだった以上、本家以外だとマイナー調のロック曲が来ることは想像できました。
けれど、まさかこんなど定番で来るなんて…想像できた人はいるでしょうか。
確かに最近露骨に登場していなかった「天国と地獄」は十中八九セトリ入りするものと睨んでいました。
ですが、それはあくまで単体での登場を予測していたに過ぎず、こんな風に他の曲との組み合わせで披露されるとは思ってみませんでした。
しかも、終盤の山場へ向かう直前の1番良いところで出てくるなんて。
定番曲でフェスなどでは当たり前の立ち位置となっていますが、これがツアーで見れる現実は一周まわって未だに信じることができません。
演奏はいつもの如くの安定感であり、しかも久々の生のライブでの披露ということで、ある意味でノスタルジーを感じる時間でした。
安定感と新鮮さが同居する感覚は、まさにグチャッとしていて、その場にいる人間にしか説明ができない感情です。
その気持ちを乗せたまま繋がる次曲は、これまで以上に不思議な感覚にさせてくれました。
もはやユニゾンの名刺がわりといっても差し支えない「シュガーソングとビターステップ」、これが最新アルバムツアーのラストで登場する事実はどう言い表して良いのかわかりません。
けれども、コロナ禍という未曾有の危機を超えて実現したツアーに用意したのが誰でも知っている定番曲というのは、MCとかでは出さない彼らなりの優しさだったみたいです。
その目論み通りに会場中の観客は誰しも気持ちが高まり、より深くライブを楽しんでいたように感じます。
そして、メンバー3人も普段やっている曲だからこそ、包み隠さずに演奏する楽しさを伝えてくれたように思います。
この「天国と地獄」→「シュガーソングとビターステップ」という、ある意味でUNISON SQUARE GARDENを言い表したど真ん中の繋ぎがグチャッとしたアルバムツアーで披露されたことは、ある意味でヘンテコさに磨きがかかってしまったのかもしれません。
18.101回目のプロローグ
斉藤さんの「ラスト!」の声とともに、アルバムでも最後に収録されている「101回目のプロローグ」が披露されました。
こちらも昨年夏に開催された「UNICITY LIVE ONLINE」のラストで登場していましたが、同様のかたちでの披露となりました。やっぱり田淵はそういう使い方にハマってる時期なのかな?
組曲のように楽曲の雰囲気が変わっていくことはそのままに…やはり生でないと感じられないものはたくさんあって、ライブっちゅーのは最高だな!と改めて感じることができました。
特に圧巻だったのは、2022年に入って参加した兵庫と京都の公園でした。
"君だけでいい 君だけでいいや こんな日を分かちあえるのは"
斎藤さんのアカペラで歌われる部分が、何とマイクを通さずに完全に地声で歌われていたのです。
そう、「fun time 724」や「LIVE(in the)HOUSE」を彷彿とさせるような演出で。
この発声を抑える世の中だからそこ実現した方法であり、歓声が響き渡る通常の世界ではまず見ることができない光景でした。
やっぱりどんな世界でもいいことはある。そう確信できた瞬間でした。
それは多分どんなことがあっても、めげずに生きてきたからこそ見れた風景であり、楽しいことを捨てずに暮らすことができた証でもあるはずです。
"世界は七色になる"
その歌声とともに七色の照明で光るステージは、今日も僕らに勇気を与えてくれました。
「UNISON SQUARE GARDENでした!バイバイ!!」
そんないつも通りの言葉とともにライブ本編は幕を下ろしました。
EN
3人がステージを後にすると、すぐさま鳴り止まない拍手が会場中に響き渡ります。
まだまだ食べ足りない…そんな気持ちがひしひしと伝わってきます。
そして、そんな思いが通じた結果、もう少しだけデザートの時間を楽しむことができました。
ENのMCは大きく分けて2つあり、比較的に落ち着いていた大阪2daysはライブができる喜びに溢れた言葉が多かったですが、年明けの2daysは少しずつ迫っている感染拡大に珍しくウンザリするような言葉も多かったように感じました。
当時は過去最大の感染網になることが予測されていましたし、いかに無敵のユニゾンとて不安な気持ちになるのも無理なかったように思います。
それほどこのツアーを駆け抜けたことは奇跡であり、その証人となった私たちは、存外貴重な経験をしていたのかもしれませんね。
そのまま流れるように曲に入り込んでいき、この"グチャッとした"アルバムでしか体験できないアンコールの幕が開きました。
EN1.crazy birthday
まさかまさかの1曲目は「crazy birthday」でした。
もちろんアンコールとしては申し分ないエネルギーを持っている曲なんですが、その特性上パートの頭に披露されるというのは本当に稀でした。
何せ"おしまい!"で終了してしまう曲ですから、どう考えてもラストに配置するのがしっくり来てしまうのは自然の摂理です。
たまに"おしまいはこの曲!"で一工夫されることはありますが、それ以外だとCIDER ROADツアーの"おしまい!じゃ!ない!"ぐらいなもので、ラストかその前に配置されるのが常でした。
それがアンコールの最初に来る…本当に月並みの表現で申し訳ないのですが、これほど"グチャッと"しているセットリストはありません。
曲自体は文句なしでライブを盛り上げる以上、この歪をただただ受け入れて楽しみ尽くすだけでした。
ひたすらにメンバーが楽しんでいる様を見せつけられながら、僕らもそれに合わせて体を動かす…満足としか言い表せない時間となりました。
曲の位置ゆえか、"おしまい!"もなく、流れるように次曲へと進んでいきました。
EN2.オトノバ中間試験
ここでまさかの「オトノバ中間試験」!
楽しい×楽しいの夢の共演…こんなの嬉しくないわけがありません。
ユニゾン屈指の多幸感溢れる人気曲でありながら、ここ最近はまったく生のライブで出会うことはありませんでした。
2019年の「プログラム15th」以来、約2年半ぶりの出会いは、否が応でも気分を高めさせてくれます。
確かに配信ライブでも出番はあったし、「UNICITY LIVE ONLINE」での「世界はファンシー」との組み合わせは元々のアルバムツアーの想定を感じさせるものとなっていた。
そんな背景があったからこそ、このライブでは絶対に会えないと思っていた。
だからこそ、万感の思いがそこにあったし、垣根なしに120%楽しむことができました。
とにかくこの曲はメンバーの楽しいそうな笑顔がいい。
斎藤さんのはにかむような笑顔も。
田淵な楽しそうに大きく笑う笑顔も。
貴雄のしんみりと噛み締めるような笑顔も。
全てがかけがえのない素敵なものを得ることができました。
このツアーでしか見せないバンドの新たな顔は、いよいよ終局となり、そして最高潮へと進んでいきます。
EN3.春が来てぼくら
本編にシングル曲が1曲しかないこと、そしてこんな歪な構成から、ENラストにアルバムのシングル曲が来ることは容易に想像できました。
そして、この多幸感マシマシのセトリを引き受けられるのは、「春が来てぼくら」しかない…それも容易に考えられる結論でした。
セトリ予想でも言った気がしますが、このアルバムの異端児的な曲をセットリストに組み込もうとしたら、完全に切り離すかめちゃくちゃにピックアップするかの2択しかありません。
予想では後者を予想しましたが、奇しくもそれが的中したかたちとなりました。(本編とENという違いはありますが)
この構成のおかげで「春が来てぼくら」が最後に来てもまったく違和感がないし、先ほどまでの構成のおかげで、むしろそれしか方法がないような説得力さえ生み出しています。
発売から約4年が経過しても、まったく色褪せないこの名曲は、今でもバンドにとって大切な曲になっているようです。
"間違ってないはずの未来へ向かう"
そのラストの田淵の幸せそうな笑顔は未だに忘れられないし、生きる糧になっています。
そんな誰も文句つけられない幸せな光景でこの8thアルバムツアーのライブは終演を迎えました。
"グチャッとした"先に見えた景色は間違いなく僕らの明日を照らしてくれた。
そう確信を言える言葉で、このライブレポの幕も閉じさせてもらえればと思う。
Patrick Vegee セットリスト
1.Simple Simple Anecdote
2.Hatch I need
3.マーメイドスキャンダラス
5.フライデイノベルス
6.カラクリカルカレ
7.Nihil Pip Viper
8.Dizzy Trickster
9.摂食ビジランテ
10.夜が揺れている
11.夏影テールライト
12.オーケストラを観にいこう
13.Phantom Joke
14.ドラムソロ〜世界はファンシー
15.スロウカーヴは打てない(that made me crazy)
16.天国と地獄
18.101回目のプロローグ
EN1.crazy birthday
EN2.オトノバ中間試験
EN3.春が来てぼくら
ということで「Patrick Vegee」ツアーのライブレポは以上となります。
もう絶対寝かせようなんて思わない…そう強く決意しましたね。
ひとまずライブレポを1本書くことができましたので、これもさりげなくビンゴ記事の一つにカウントさせていただきます。元々そのつもりで書いたんだけどなぁ…笑
今回のことで思ったんですが、あまり自分にはライブレポというものは向いていないようです。
オレ、ライブタノシイ、ユニゾンスクエアガーデン、カッコイイ。
で終わってしまう部分も多分にあるようなので、なかなか細かいところまでライブの場面を掘り下げるのは得意ではないようです。
なので、今後はセットリスト予想の答え合わせ的な感じで記事を投稿できればと思っています。
まずはその第1弾として、「fun time HOLIDAY 8」のセトリ答え合わせと合わせて「kaleido proud fiesta」ツアーのセットリスト予想を投稿しようと思います。お楽しみに!
あ、あと新しい企画を始めました。このアルバムにも関係ある話ですね。
これはまた別の機会で紹介していければと思っています。お楽しみに。
では、今日はここまで。バイバイ!